「ENEOSでんき」を東京電力の管内で、ガソリンと共通に「Tポイント」も電力供給サービス

石油最大手のJX日鉱日石エネルギーが2016年4月から開始する「ENEOSでんき」に、共通ポイントサービスの「Tポイント」を導入する。東京電力の管内でガソリンとセット割引も実施して、従来のガソリン販売で獲得したTポイントの利用者を中心に家庭向けの電力小売を拡大する戦略だ。

» 2015年08月19日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 Tポイントが貯まる「ENEOS Tカード」。出典:JX日鉱日石エネルギー

 「Tポイント」は全国で5477万人が利用する共通ポイントサービスで、「楽天スーパーポイント」や「Ponta(ポンタ)」と並ぶ3大ポイントプログラムの1つである。JX日鉱日石エネルギーは2012年からガソリンの購入者を対象に「ENEOS Tカード」を発行して会員を増やしてきた(図1)。

 新たに2016年4月から東京電力の管内で開始する家庭向けの電力小売サービス「ENEOSでんき」でもTポイントを付与することにした。ENEOSでんきはJXグループの発電所を含めて電力を低コストで調達しながら、ガソリンとセット割引などを通じて家庭向けに安価な電力を販売する方針だ(図2)。電力の購入時にもTポイントを付与することで、既存の会員を中心に顧客を開拓していく。

図2 「ENEOSでんき」のサービスイメージ(左)、供給エリア(右、2016年4月時点)。出典:JX日鉱日石エネルギー

 すでに東京電力が2016年1月からTポイントとPontaの2つのポイントプログラムを開始することを発表している。東京電力は同じTポイントを提供するソフトバンクとも提携して、電力と電話のセット販売を計画中だ。エネルギーに加えて各種の公共サービスとポイントプログラムを組み合わせた顧客獲得競争が激しくなる。

 JX日鉱日石エネルギーは電力の調達量を拡大するために、東京ガスと共同で神奈川県内に運営する「川崎天然ガス発電所」の増強を進めている(図3)。現在は2基で85万kW(キロワット)の発電能力だが、2021年に110万kW(55万kW×2基)を新たに稼働させる計画だ。この提携関係を通じて都市ガスを加えた事業拡大の可能性もある。都市ガスは電力に続いて2017年4月に家庭向けの小売が自由化される。

図3 「川崎天然ガス発電所」の全景。出典:JX日鉱日石エネルギー、東京ガス

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