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» 2015年09月03日 07時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:容量はリチウムイオン電池の6倍以上、「リチウム空気電池」の実用化に一歩前進 (1/2)

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の陳明偉教授らが、一般的なリチウムイオン電池の6倍以上の電気容量を持ち、100回以上繰り返し使用が可能なリチウム空気電池の開発に成功した。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 科学技術振興機構(JST)は2015年9月2日、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の陳明偉教授らの研究グループが、一般的なリチウムイオン電池の6倍以上の電気容量を持ち、100回以上繰り返し使用が可能なリチウム空気電池の開発に成功したと発表した。電気自動車にこのリチウム空気電池を利用すれば、走行距離を500〜600kmに伸ばせるという。

 次世代自動車として期待されるEVだが、普及に向けた課題の1つとして挙げられるのが1充電当たりの走行距離だ。現在のEVに利用されているリチウムイオン電池の電気容量で走行できるのは200キロメートル程度である。

 そこでより電気容量を持つ二次電池の1つとして実用化が期待されているのがリチウム空気電池だ。この電池はリチウムイオン電池とは異なり、正極にコバルト系やマンガン系の化合物を用いることなく、リチウム金属、電解液と空気だけで作動し(図1)、リチウムイオン電池の5〜8倍の電気容量を実現できるとされている。

rk_150802_ritiumu01.jpg 図1 「リチウム空気電池」の仕組み。負極にリチウム金属、正極に金属や多孔質炭素なを採用する。正極でリチウムイオンと酸素が反応し、過酸化リチウム(Li2O2)を生成する(放電)ことで電気を得る。また、生成した過酸化リチウムをリチウムと酸素に分解する(充電)ことで再放電が可能になる 出典:JST

 リチウム空気電池は充放電両方の化学反応に対応した電極材料や触媒が開発途上にあり、国内外でさまざまな金属や炭素系の材料を用いた開発競争が進んでいる。陳教授らのグループは、これまで発火などの危険性のある水溶液系ではなく、安定な非水溶液系リチウム空気電池のナノ多孔質正極材料(図2)の高性能化に着目し研究を進めてきた。

rk_150902_ritiumu02.jpg 図2 ナノ多孔質グラフェンの3次元立体図 出典:JST

 同研究グループは既にこの電気伝導性が高く、空隙率が99%に達するナノ多孔質グラフェンを正極として用いることで、市販されているリチウムイオン電池の電気容量の30倍以上(8300mAh/g)を持つ電極材料の開発に成功している。しかし充電時の過電圧が非常に高いためエネルギー利用効率注が50%程度と低いことが実用化に向けた障壁となっていた。

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