大型風車65基を高原に新設、街には太陽光とバイオマスエネルギー列島2015年版(24)三重(1/3 ページ)

風力発電が活発な三重県の高原地帯で新しい発電所の建設工事が2カ所で進んでいる。そのうちの1つは全体が稼働した時点で日本最大の風力発電所になる。都市部では太陽光発電とバイオマス発電の導入プロジェクトが拡大中だ。バイオマスは地域の森林資源を利用して林業の振興にも役立てる。

» 2015年09月29日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 三重県の丘陵地帯は日本でも有数の風力発電所が集まる場所だ。県の中部に広がる青山高原には50基を超える風車が稼働している。その中に地元の津市と伊賀市、中部電力グループのシーテックが加わって運営する「青山高原ウィンドファーム」がある(図1)。

図1 「青山高原ウィンドファーム」の全景。出典:三重県雇用部

 現在は20基の風車で15MW(メガワット)の発電能力だが、新たに40基の大型風車を増設する工事が進行中だ。予定では2016年4月に一部の運転を開始して、2017年3月までに全面稼働する。新旧を合わせて95MWの発電能力になる見込みで、島根県で運転中の「新出雲ウインドファーム」(78MW)を抜いて日本で最大の風力発電所になる。

 青山高原から50キロメートルほど離れた度会町(わたらいまち)の丘陵でも、25基で50MWの風力発電所を建設するプロジェクトが進んでいる(図2)。コスモ石油グループが開発中の「度会ウィンドファーム」で、偶然にも青山高原と同じ2017年3月に運転を開始する予定だ。

図2 「度会ウィンドファーム」の建設予定地。出典:コスモ石油

 風力発電の設備利用率(発電能力に対する年間の発電量)を標準の20%で計算すると、度会ウィンドファームの発電量は年間で8760万kWh(キロワット時)になる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2万4000世帯分に相当する。実に度会町の総世帯数(3000世帯)の8倍にのぼる規模だ。

 三重県は2012年に策定した「新エネルギービジョン」の中で、風力発電の規模を2020年までに245MWに拡大する目標を掲げた。建設中の2カ所を加えると200MWを超えて、目標に大きく近づく。さらに開発中の風力発電所が2カ所で合計56MWの発電能力になり、両方とも運転を開始すれば目標値を超える。

 風況に恵まれている東北地方を除くと、本州の中では三重県の風力発電の導入量が最大になる見込みだ。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は建設中の2カ所で130MWになり、全国で第4位に入る(図3)。加えて太陽光とバイオマスの導入量が着実に増えてきた。

図3 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)
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