火力発電のCO2排出量、2020年度に700万トン削減へ法制度・規制(1/2 ページ)

電力会社を中心に火力発電のCO2排出量を2020年度までに年間で最大700万トン削減する目標を新たに設定した。新設する火力発電所には政府が規定した最新の技術基準「BAT」を適用する一方、既設の発電所でも設備を更新して効率を高めていく方針だ。

» 2015年10月02日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 政府が2030年までにCO2(二酸化炭素)の排出量を26%削減(2013年比)する公約を掲げたことで、火力発電の効率向上を急ぐ必要性が高まっている。電力会社10社と電源開発(J-POWER)、さらに新電力の大手23社を加えた発電事業者が共同で、火力発電によるCO2排出量の削減目標を新たに設定した。

 火力発電所の新設と設備更新を合わせて、2020年度までに最大で年間700万トンのCO2排出量を削減する目標だ。環境省が再三にわたって火力発電に伴うCO2排出量を削減するための枠組みづくりを電力業界に求めてきたことを受けたもので、7月の時点では2030年度までに最大1100万トンのCO2排出量を削減する目標を出していた。さらに短期の目標を掲げて早急に対策を実施する姿勢を示した。

 火力発電の効率向上は2通りの方法で業界を挙げて取り組んでいく。1つは経済産業省と環境省が共同で策定した火力発電の技術基準「BAT(Best Available Technology、経済的に利用可能な最良の技術)」に従って火力発電所を新設する。すでに2013年度以降に運転を開始した火力発電所のうち4カ所がBATに適合している(図1)。この4カ所が稼働したことで年間のCO2排出量を約380万トン削減できる。

図1 火力発電の効率向上によるCO2排出量の削減(画像をクリックすると拡大して排出量と注釈も表示)。出典:電気事業連合会

 もう1つの方法は既設の火力発電所の設備を更新する。2013年度以降に実施した設備更新によるCO2排出量の削減効果は約40万トンになる見込みだ。新設分と合わせて約420万トンを削減できることから、2020年度に700万トンの目標は十分に達成できるだろう。ただし電力会社の中で対策を実施したのは5社だけで、残る5社の取り組みが急がれる。

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