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» 2015年10月22日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:太陽光発電の収益を「ソーラー奨学金」に、電気自動車も開発する高校で

創立67年の歴史を誇る岡山県の私立高校が「ソーラー奨学金」の制度を独自に導入する。空き地になっていた校有地に0.8MWの太陽光発電設備を建設中で、2016年1月に運転を開始する予定だ。年間に約4000万円を見込める売電収入を生かして、2017年度から奨学金の支給を始める。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「おかやま山陽高校」は瀬戸内海に面した岡山県の浅口市(あさくちし)で1948年に開校した。普通科のほかに専門系(職業系)の学科があって、電気自動車も開発している。2017年度に開始する「ソーラー奨学金」は専門系の生徒を中心に支給する計画だ。

 学校が所有する空き地に太陽光発電所(図1)を建設して、発電した電力の売電収入で奨学金を運用する。発電能力は0.8MW(メガワット)で、年間に約100万kWh(キロワット時)の発電量を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して280世帯分に相当する。

okayama1_sj.jpg 図1 「おかやま山陽高校ソーラー発電所」の完成イメージ。出典:おかやま山陽高等学校

 現在は基礎工事が進んでいて(図2)、2016年1月に運転を開始する予定だ。発電した電力は固定価格買取制度を通じて中国電力に売電する。2012年度に買取制度の認定を受けているため、電力1kWhあたりの買取価格は40円(税抜き)を適用することができる。年間の売電収入は約4000万円になる見通しだ。

okayama2_sj.jpg 図2 建設工事の状況。出典:おかやま山陽高等学校

 おかやま山陽高校では売電による収益をもとに、2017年度から生徒1人あたり月額1万円の奨学金を支給する。対象になるのは専門系の機械・自動車・調理・製菓の4学科のほか、普通科のうち資格専門コース(福祉・保育系、ビューティ系)に在籍する生徒だ。対象者の人数や選考方法は今後決定する。

 校長の原田一成氏はソーラー奨学金を始める目的として「再生可能エネルギーの啓発」「専門職で地域社会に貢献する若者の応援」「公費に頼らない自助努力の提案」の3つを掲げる。同校では「マイスター・スクール」と呼ぶオリジナルの授業にも力を入れていて、各分野の専門家から技術や技能を学べる講座が40種類ある。その中には板金塗装や溶接、機械加工といった自動車の製造に使える技術の講座もそろっている。

 おかやま山陽高校を一躍有名にしたのが、世界で最も車高が低い車「MIRAI」の開発だ(図3)。自動車科の生徒が2009年からプロジェクトを開始して、2010年に電気自動車として完成させた。車高が45センチメートルの1人乗りで、2011年にはギネスの世界記録にも認定されている。トヨタ自動車の同名の燃料電池車よりも4年早く登場した。ソーラー奨学金は未来の自動車の開発にも生かされる。

okayama3_sj.jpg 図3 自動車科の生徒が開発した電気自動車「MIRAI」(左)とトヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」(右)。出典:おかやま山陽高等学校

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