公立大学で最大規模の「屋根貸し」太陽光発電、災害時には非常用電力に自然エネルギー

愛知県立大学「長久手キャンパス」の屋根を活用した太陽光発電事業がスタートする。同大学が発電事業者に屋根を貸し出して、20年間にわたって発電を行う。推定発電量は年間42万2400kWh(キロワットアワー)を見込んでおり、災害時には発電した電力を学生の安全や大学の機能維持に活用していく。

» 2015年05月19日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 愛知県公立大学法人は、愛知県立大学「長久手キャンパス」の屋根を利用して太陽光発電を行う事業者と協定を締結した。協定締結事業者は愛知電機(愛知県春日井市)で、発電開始を予定する2015年9月から、設備の設置・撤去工事に要する期間を含め20年間にわたって屋根を活用した太陽光発電事業に取り組む(図1)。

図1 長久手キャンパスへの太陽光パネルの設置イメージ 出典:愛知県公立大学法人

 対象施設は管理棟、講義棟、学生会館などを合計した4469.1平方メートルで、これは公立大学の屋根貸しによる太陽光発電事業では国内最大規模になるという。パネル容量は352kW(キロワット)で年間推定発電量は42万2400kWh(キロワット時)。愛知県公立大学法人は、法人建物賃借料として年間57万9195円(120円/平方メートル・年×4469.1平方メートル×消費税)を受け取る。

 愛知県公立大学法人は、2014年4月から第2期中期目標、中期計画に基づき教育研究や地域連携に取り組んでいる。その中で「施設・設備の活用及び安全管理に関する目標」および「社会的責任及び法令順守に関する目標」を掲げ、大規模災害対策や環境への配慮の取組を進めてきた。

 愛知県公立大学法人の設置者である愛知県は、「あいち地球温暖化防止戦略 2020」を策定し、「環境と暮らし・産業が好循環する持続可能な愛知」に向けて、太陽光発電施設の導入を推進している。今回の発電事業はこうした県の活動を受け、愛知県公立大学法人として国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用し、法人所有施設の有効活用および大規模災害時の電源確保を目指したものだ。

 愛知県公立大学法人は2014年10月10日〜11月10日まで、太陽光発電を行う事業者を企画提案型随意契約方式(プロポーザル方式)により公募しており、同年11月21日に開催した「法人所有施設屋根貸し太陽光発電事業審査委員会」で愛知電機を協定締結事業者として選定した。その後、事業内容について協議を重ね、経済産業省への設備認定や建物構造の安全性を担保する構造計算書などの必要な手続きが整ったため、今回、愛知電機との協定締結に至った。

 なお大規模災害発生時には、今回設置される太陽光発電設備で発電した電力の提供を受けることで、愛知県立大学に通う学生の安全や同大学の機能維持に活用する。また、環境教育に資するため、大学に発電量をタイムリーに表示するモニターを複数設置し、学生への周知も図っていく。

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