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» 2015年12月17日 07時00分 UPDATE

法制度・規制:再生可能エネルギーを最大限に増やす、固定価格買取制度の改革案 (1/3)

太陽光発電を中心に急速に拡大を続けてきた再生可能エネルギーの市場環境が大きく変わる。従来の固定価格による買取制度を改正して、太陽光や風力には変動価格の新方式を導入する見込みだ。発電設備の認定時期も見直すほか、買取義務を小売電気事業者から送配電事業者へ変更する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本の再生可能エネルギーは2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT:Feed-In-Tariff)によって目覚ましく拡大した。2015年6月までの3年間で過去の累積導入量を上回り、さらに伸び続ける勢いだ(図1)。ただし3年間に運転を開始した発電設備の96%を太陽光が占める偏った状況で、電力の安定供給に不安が生じる事態になっている。

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kaitori10_sj.jpg 図1 再生可能エネルギー発電設備の導入量。出典:資源エネルギー庁

 政府はFITをはじめとする再生可能エネルギー関連の制度を抜本的に見直すため、9月に委員会を発足して改善策を検討してきた。その検討結果が12月15日にまとまった。制度の見直しは5つの分野にわたり、法改正が必要な項目の多くは2017年度に実施する見込みだ(図2)。

kaitori0_sj.jpg 図2 制度見直しの骨子(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 特に重要な改正点は買取価格の決定方式を変更することである。従来の制度では電源の種別に、実際に運転を開始した発電設備の建設費と維持費をもとに買取価格の水準を決定していた。太陽光発電のようにコストの低下が急速に進む電源の場合には、運転開始を遅らせるほど発電事業者の利潤が大きくなるため、買取制度の認定を受けながら建設工事に着手しない事例が数多く発生している。

 こうした問題点を解消できるように電源別に買取価格の決定方式を分けて、5種類の再生可能エネルギーをバランスよく拡大させる。すでにFITを開始して10年以上を経過したドイツなどヨーロッパの先進国で採用されている4つの方式の中から、電源の種類ごとに最適な方法を選択することになる(図3)。

kaitori8_sj.jpg 図3 買取価格を決定する4つの新方式のメリットとデメリット。出典:資源エネルギー庁

 第1の「トップランナー方式」は従来の固定価格を踏襲しながら、すでに運転を開始した発電設備のうちコスト効率の高い事例(トップランナー)を参考にして買取価格を決定する。発電事業者にコスト削減を促す効果が期待できる。年間を通じて発電量が安定している中小水力・地熱・バイオマスの3種類にはトップランナー方式を適用する見通しだ。

 太陽光と風力も当初はトップランナー方式による固定価格を継続するものの、早い段階で変動価格へ移行していく。特に発電量が大きい事業用(非住宅)の太陽光発電には入札方式を導入する。入札方式は発電事業者が買取価格を応札して安い順に落札できる仕組みで、競争原理が働いて買取価格を適正水準まで引き下げることができる。事業用の中でも大規模な発電設備から入札方式の対象にする。

 住宅用(発電能力10kW未満)の太陽光発電には入札方式を導入することはむずかしいため、代わりに買取価格を長期的に低減させる第2の方式が有力だ。風力も同様に買取価格を変動させる方式へ移行する可能性が大きい。ドイツやフランスでは風力発電に対して運転開始当初と一定期間後の2種類の買取価格を設定する方式を採用している。

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