再生可能エネルギーを最大限に増やす、固定価格買取制度の改革案法制度・規制(2/3 ページ)

» 2015年12月17日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

風力や地熱に不利な認定方法を見直し

 発電事業者にとって重要な制度改革の2点目は、発電設備の認定方法が変わることである。現在の固定価格買取制度では、発電事業者が電力会社に発電設備の接続を申し込む前に認定を取得する流れになっている(図4)。認定には発電設備の設置場所や設備の仕様を申請書に記載したうえで、土地の登記簿などを提出する必要があるが、一定の基準を満たせば取得することができる。

図4 発電設備の認定時期の見直し案。出典:資源エネルギー庁

 これに対して新しい認定方法では電力会社と接続契約を締結した後に取得する。発電設備を電力会社の系統(送配電ネットワーク)に接続できる状況になってからでないと認定を受けることができなくなる。従来のように認定を受けたまま工事に入らないケースを防ぐ狙いだ。認定を取得してから工事に入るまでの期限も設定する。

 電力会社に接続を申し込むためには、一定規模以上の風力や地熱では事前に環境アセスメントを実施しなくてはならない。現在は手続きを完了するまでに3〜4年かかり、FITの認定を受けるまでの期間が太陽光などと比べて長くなってしまう(図5)。風力や地熱の導入量が伸びない要因の1つだ。

図5 電源別の認定・運転開始までの標準期間。出典:資源エネルギー庁

 環境アセスメントは「配慮書」から「評価書」まで4段階の手続きを順に実行する必要がある。それぞれ国や自治体の審査などに1カ月から9カ月かかるが、この審査期間を短縮する取り組みを全国各地で進めていく。さらにアセスメントで最も時間がかかる環境影響調査を手続きと並行に実施できるように、国の実証事業で効率的な調査手法を確立して事業者を支援する(図6)。

図6 環境アセスメントの手続き迅速化イメージ。出典:資源エネルギー庁

 こうした対策を実施して、環境アセスメントの期間を1年半程度に短縮させる。加えて電力会社には環境アセスメントの完了前の状態でも、発電設備の仕様が明確な場合には接続の申込を受け入れるように要請する。これで風力や地熱の発電設備がFITの認定を受けるまでの期間が大幅に短くなる。

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