貼るだけで窓を簡単に二重化、年間32.4%の電力コスト削減に省エネ機器(1/2 ページ)

AGCグラスプロダクツは「ENEX 2016」(2015年1月27〜29日、東京ビッグサイト)に出展し、“後付けで窓を2重にできる”という同社の省エネ製品「アトッチ」をアピールした。開閉できない固定窓でも後から短い施工期間で2重化することが可能で、オフィスや店舗などの省エネ改修手法として採用が進んでいるという。

» 2016年01月29日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 オフィスや店舗、住宅をより省エネにしたい――。そう考えた時、選べる手法は空調の見直し、照明の交換などさまざまな方法があるが、見逃してはいけないのが窓の省エネだ。日本サッシ協会のデータによれば住宅の場合、冬は窓から50%の熱が逃げていく。一方、夏は窓から70%の熱が侵入してくるという。夏と冬、どちらの季節においても窓は省エネ対策の重要なポイントになる。

 こうした窓の省エネ対策に向けた製品として、旭硝子のグループ会社であるAGCグラスプロダクツが開発した製品が「アトッチ」だ。1枚ガラスの窓に後からガラスを貼りつけて複層ガラスにし、窓の省エネ性能を高められるというユニークな製品だ。2012年の販売以降、窓の省エネ改修手法として採用数を伸ばしており、間もなく累計導入面積が2万平方メートルを突破するという。

後付けで窓を2重に、数日間で取り付け可能

 アトッチは既に取り付けてある窓に、特殊金属膜をコーティングしたエコガラス(Low-E ガラス)をそのまま貼りつけることで、複層ガラスと同等の省エネ性能を確保できるという製品だ(図1)。夏季はエコガラスによって遮光率を高め、冬季は2枚のガラスの間に生まれる空気層によって室内の熱を外に逃さない(図2)。

図1 「アトッチ」の施工をイメージしたカットモデル(クリックで拡大)

 一般的な6mm(ミリメートル)の1枚ガラスと比較した場合、アトッチを取り付けることで夏場の遮熱性は約1.8倍、冬季の断熱性は約3.7倍に向上でき、結露対策にも有効だという。

 施工のしやすさも特徴で、例えば高層ビルなどの場合でも、室内から取り付け施工が行える。高層ビルやホテルなどでよくみられる開閉しない固定窓を2重化する場合、外側に足場を作るなど、大掛かりな交換工事になることが多い。アトッチの場合こうした作業を簡略化できるため、施工期間も短く、取り付けるエリアの規模によっては土日などの週末の休業日だけで施工を終えることもできるという。「まずは一番大きなオフィスだけ」というように、分割して施工を進めることも可能だ。

図2 「アトッチ」の構造 出典:AGCグラスプロダクツ
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