省エネを強力に後押し、全事業者を4段階にクラス分けする新評価制度開始へ省エネ機器(1/3 ページ)

国際的な地球温暖化対策などの影響もありあらゆる事業者にとって「省エネ」は既に避けられないテーマとなっている。政府も省エネ促進に向けさまざまな施策を打ち続けているが、現在の状況についてどう考えているのだろうか。省エネなどエネルギー関連の展示会「ENEX 2016」の基調講演として登壇した経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー対策課長の辻本圭助氏の講演の内容をお伝えする。

» 2016年02月08日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 「ENEX 2016」(2016年1月27〜29日、東京ビッグサイト)の省エネセミナーとして、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー対策課長の辻本圭助氏が登壇。「省エネルギー政策の動向〜2016以降の展開」をテーマに基調講演を行った。

photo 経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー対策課長の辻本圭助氏

 2013年度の日本の最終エネルギー消費は1973年度比で1.3倍となった。分野別では、産業部門は0.8倍と減少したものの業部部門(2.9倍)と家庭部門(2.0倍)は大きく拡大した。ただ、これまでの省エネ努力によって、日本は経済成長と世界最高水準の省エネを同時に達成し、既に各部門ともにエネルギー消費量の増加傾向には歯止めがかかっている。2013年度の数字も前年比でみると0.9%減少している。

 省エネの徹底は「日本のエネルギー需給の安定化」「事業者・家庭でのエネルギーコストの低減」「事業者のエネルギー生産性の向上」などにも貢献している。エネルギー効率という観点で海外と比較しても英国、ドイツ、フランスなどと並んで世界トップクラスに位置付けられている。辻本氏は「日本には国内に、これだけ多くの製造業があり、世界中にいい製品を作り出している。それにもかかわらず、エネルギー効率がトップランクだ。これが我が国の目指す姿である」と日本の省エネに対する考え方を示した。

将来的には原油換算で5030万kl削減

 将来的な目標については2013年度のエネルギー需要3億6100万kl(キロリットル、原油換算)に対して2030年には年間1.7%の経済成長をしつつ、徹底的な省エネで5030万kl削減(対策前比13%減)の達成を目指している。特に電力分野を約2000kl減らす計画は、経済成長を果たしながら電力需要を抑えるという歴史上なかったことに取り組むことになるという。

 削減量は産業部門が1042万kl程度、業務部門が1226万kl程度、運輸部門が1607万kl程度、家庭部門は1160万kl程度とそれぞれの分野で目標値を立てており、各部門がそれぞれの省エネ対策の積み上げで目標達成を目指す(図1)。

photo<strong>図1 長期エネルギー需給見通しにおける省エネルギー対策(クリックで拡大)出典:資源エネルギー庁</strong>
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