固定価格買取制度の対象になる発電設備が全国各地で着実に増加している。政府の最新データでは、2015年10月に90万kWの発電設備が新たに運転を開始した。発電した電力の買取量も増えて、一般家庭の1300万世帯分に相当する電力を再生可能エネルギーで供給できる状態になった。
資源エネルギー庁が公表した2015年10月の導入・買取・認定状況によると、固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した発電設備が1カ月間に90万kW増えた(図1)。制度開始以降の導入量は累計で2455万kWに達して、大規模な原子力発電所の24基分に相当する。
2455万kWのうち全体の8割がメガソーラーを中心とする非住宅用の太陽光で、早くも2000万kWを突破した。さらに運転開始前の発電設備を加えると、非住宅用の太陽光だけで7549万kWにのぼる。すべての発電設備が運転を開始すると、電源の種別ではLNG(液化天然ガス)火力を抜いて最大の規模になる(図2)。
発電設備の拡大に伴って、買取の対象になる電力量も着実に増えてきた。2015年10月の買取電力量は39億kWh(キロワット時)を超え、5月の41億kWhに次ぐ過去2番目を記録した(図3)。一般家庭の使用量(月間300kWh)に換算すると1300万世帯分に匹敵する。日本の総世帯数(5200万世帯)の4分の1を再生可能エネルギーでカバーできる。
買取電力量のうち非住宅用の太陽光が23億kWhで全体の58%、住宅用の太陽光が6億kWhで16%を占めている。次いで風力が12%、バイオマスが11%である。天候の影響を受けにくい中小水力・地熱・バイオマスの合計では14%にとどまっている。
一方で買取金額は1カ月間で1426億円にのぼった。電力1kWhあたり36円になる。買取電力量の半分以上を占める非住宅用の太陽光では、2012年度に認定を受けた発電設備の買取価格は40円である。2013年度に36円、2014年度には32円に下がり、2015年度は27円(4〜6月の認定分は29円)まで低下した。これから2014年度以降に認定を受けた太陽光発電設備が増えると、買取金額の単価は下がっていく。
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