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» 2016年02月15日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:地熱発電で課題物質の回収とレアメタルを採取する“両得”技術を開発

北九州市立大学 国際環境工学部エネルギー循環科学科 吉塚和治教授は、企業と共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「地熱発電技術研究開発」に応募し、採択された。

[長町基,スマートジャパン]

 今回NEDOに採択されたプロジェクトは地熱発電時に出る還元熱水から地熱発電プラントの抱える大きな問題の一つであるスケールの主要因となるシリカを回収するもの。さらにシリカ回収後の熱水からレアメタル資源であるリチウムを採取することによって、地熱発電プラント設備の操業リスクを軽減し、発電量の拡大を目指す。この技術開発により、日本の地熱発電の導入拡大の促進に貢献することを目的としている。

 プロジェクトの名称は「還元熱水高度利用化技術」。地熱熱水に含まれるシリカ成分が、地下では高温・高圧状態にあるため溶解しているが、温度、圧力の変化により溶解度が変化するとシリカが析出し、配管や還元井に付着することがある。これがシリカスケールで、特に還元熱水から熱を回収し熱水温度が低下すると、シリカが析出しやすい。

 今回のプロジェクトでは地熱発電プラントの操業における地熱流体に含まれる化学物質に起因するスケール付着を原因とする損傷のリスクを低減するために、シリカその他希少金属を回収する技術の確立を図るもの。それにより、地熱発電における大きな問題の一つである還元井や地上設備へのシリカスケール付着による操業リスクを低減し、同時に、還元水の熱回収によるバイナリー発電を用いた発電量の拡大を可能にしていく。バイナリー発電は地下から取り出した熱水を熱源として、水より沸点の低い液体と熱交換し、蒸発させ、その蒸気でタービンを回す発電方式だ。

photo 図1 還元熱水高度利用化技術プロジェクトの概念図(クリックで拡大)出典:NEDO

 プロジェクトでは北九州市立大学がリチウム回収技術の基礎研究を行い、一般企業の地熱技術開発(代表者)などがコロイダルシリカ回収技術の開発、パイロットプラント建設、実証試験、発電事業への波及効果ならびに事業化検討を行う。また、日揮が実規模プラント概念設計を担当する。研究機関は平成27年度から平成29年度までの3年間。予算規模は約7億円で、このうち同大学は7000万円(暫定)となっている。

 NEDOでは地熱資源の有効活用や、地熱発電の導入拡大を図るため、環境配慮型高機能地熱発電システムに関係する機器開発、現状未利用である低温域でのバイナリー発電システム開発、発電所の環境保全対策や発電所建設の円滑化、高度利用化に向けた技術などに資する研究開発を実施している。

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