臨海工業地帯を再生可能エネルギー地帯へ、バイオマス発電で9万世帯分の電力自然エネルギー(1/2 ページ)

鹿児島湾に面した臨海工業地帯で大規模なバイオマス発電プロジェクトが始まった。以前は造船所の用地だった場所に、国内最大級の49MWの木質バイオマス発電設備を建設する。隣接地には70MWの太陽光発電所が運転中のほか、バイオ燃料の原料になる微細藻類の屋外培養池もある。

» 2016年02月19日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 バイオマス発電所を建設する場所は鹿児島臨海工業地帯の一角を占める「七ツ島(ななつじま)」にある(図1)。もともと7つの島があったところを1970年代に埋め立てて、広大な工業用地を造成した。IHI(当時は石川島播磨重工業)が七ツ島の面積の3分の2にあたる132万平方メートルの用地を購入して造船所を建設する計画だったが、その後の経済環境の変化で撤退した跡地が残っている。

図1 七ツ島の位置と全景。出典:IHI、京セラ、みずほコーポレート銀行

 IHIは跡地のうち6万平方メートルを利用して、木質バイオマス発電事業に乗り出す。発電能力は49MW(メガワット)を想定している。国内の木質バイオマス発電所では昭和シェル石油グループが東京湾岸で運転中の「京浜バイオマス発電所」の49MWが最大で、それと同等の規模になる。

 年間の発電量は3億3700万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して9万3000世帯分に相当する。七ツ島がある鹿児島市の総世帯数(27万世帯)の3分の1をカバーできる電力源になる。燃料には地域の間伐材のほか、東南アジアから輸入するパームヤシ殻を利用する予定だ。2016年夏に着工して、2018年末を目標に運転を開始する。

 バイオマス発電所の建設用地の隣には、IHIが所有する127万平方メートルの敷地にメガソーラーが稼働中だ(図2)。発電能力は70MWに達して、運転を開始した2013年11月の時点では日本で最大のメガソーラーだった。現在でも大分臨海工業地帯にある「大分ソーラーパワー」の82MWに次いで2番目の規模がある。年間の発電量は7880万kWhにのぼり、2万2000世帯分の電力を供給することができる。

図2 「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」の全景。出典:鹿児島メガソーラー発電
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