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» 2016年02月23日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:3次元解析で自然エネルギーを省エネに生かす、ビル空調コストを20%削減

清水建設は設計初期段階において建物の自然換気性能を評価する3次元シミュレーションシステム「VisualNETS-3D」を開発した。自然換気性能とは建物の屋外風の風圧や、建物内外温度差による差圧を利用して外気を建物内に取り込む冷房方式だ。3次元シミュレーションにより、建物にこうした自然換気を活用しやすくし、空調エネルギーを最大20%程度削減できる見込みだという。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 政府は2030年までに新築建築物の平均で、年間の1次エネルギー消費量がネットでゼロとなる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)」を実現する方針を掲げている。ZEBの実現に向けてはさまざまな領域で省エネに取り組む必要があるが、特に建物のエネルギー消費量の大部分を占める空調エネルギーの省エネが欠かせない。そこで自然空調などの自然エネルギーを活用した省エネ空調施策にも注目が集まっている。

 清水建設が開発した3次元シミュレーションシステム「VisualNETS-3D」は、建物の自然換気性能を評価するシステムで、2000年に開発した2次元モデルを改良したものだ。自然換気性能とは、建物の屋外風の風圧や建物内外温度差による差圧を利用して、外気を建物内に取り込む冷房方式のこと(図1)。

rk_160222_biru01.jpg 図1 自然換気のイメージ 出典:北方建築総合研究所

 清水建設によれば、近年のオフィス空調は春・秋とも冷房となっている場合が多いという。一方、中間期と呼ばれる4〜5月と10〜11月の4カ月は外気温がオフィス内の温度よりも適度に低くなる。この性質を利用して外気をオフィス内に取り入れ、空調冷房の代わりに自然換気で冷房を行うという仕組みだ。

 従来はこうした建物の自然換気性能を、2次元シミュレーションで評価していた。しかしこの場合、建物の空間全体を捉えた評価が行えない、特定の断面でしか評価結果を可視化できないといった課題があった。そこで今回開発したVisualNETS-3Dは、3次元シミュレーションによる高精度な解析を可能にした。

 VisualNETS-3Dの特徴の1つがBIM(Building Information System)データとの連携機能だ。BIMとは建築物の設計段階で3次元のデジタルモデルを作成し、そこにコストや管理情報などの属性データを追加したデータベースを、建物の設計や施工、維持管理までのあらゆる工程で活用するものだ。

 VisualNETS-3DはこのBIMとの連携が可能で、まず設計者はBIMデータを利用して建物の3次元形状を入力する。次に各部屋の形状、窓・換気開口の形状・仕様、空調・換気設備による給排気の位置・風量、各部屋の在室人数・時間帯、照明電力量と点灯時間など、室内の温熱環境に影響を与える複数の条件を入力して、解析用の3次元モデルを構築する。自然換気に影響を与える気象条件は、アメダスの気象データや世界主要都市のデータをベースとして使用し、建設地の時々刻々の気温、日射量、風向き、風速の変化などがシミュレーションに反映される。3次元モデルの構築からシミュレーションまでを約3時間程度で行えるという。

 清水建設によれば今回のVisualNETS-3Dにより、建築物の実態にあった3次元のシミュレーションを行うことが可能になり、より効果的かつ経済的な自然換気方式の提案が行えるとしている。さらに結果、空調に要するエネルギーを最大20%程度削減できるとしている。同社ではこのシステムを活用し、自然換気を採用した省エネな建築計画を提案を進めていく方針だ。

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