「村に帰る」思いを込めた太陽光発電所、売電益から1億円をバス事業に自然エネルギー(1/2 ページ)

東日本大震災からまもなく5年が経過するが、事故を起こした原子力発電所から20キロメートル圏内で初めてのメガソーラーが運転を開始した。福島県川内村の復興整備計画で国の認定を受けた事業である。売電益の一部は避難者の帰村生活を支援するバスの運行に活用する。

» 2016年03月03日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 川内村の位置。出典:川内村役場

 川内村(かわうちむら)は福島県の東部に広がる高原地帯にある(図1)。太平洋に近い場所でも10キロメートルほど離れているため、東日本大震災では津波の被害は発生しなかった。しかし東側は福島第一原子力発電所から20キロメートル圏内に入り、国から避難指示が出た。現在も一部は「避難指示解除準備区域」に指定されていて、総人口2700人強のうち約1000人が避難生活を続けている。

 村の中には遊休状態になっている家畜用の広い採草畑がある。2014年から始まった「川内村復興整備計画」の中で、村が所有する2カ所の採草畑をメガソーラーの建設用地に転換することを決めた。そのうちの1カ所で「かえるかわうちメガソーラー発電所」が2月25日に運転を開始した(図2)。

図2 「かえるかわうちメガソーラー発電所」の全景(上)、太陽光パネルの設置状況(下、画像をクリックすると拡大)。出典:エナジア

 発電能力は2.6MW(メガワット)で、福島第一原子力発電所から20キロメートル圏内で稼働した初めてのメガソーラーである。年間の発電量は290万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると800世帯分に相当する。川内村の総世帯数(1160世帯)の7割弱をカバーする規模の電力になる。

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