アウトレットモールに太陽光発電できる駐車場、500台分で電力の80%をまかなう自然エネルギー

茨城県にある大型のアウトレットモールの駐車場に太陽光パネルを搭載したカーポートを導入した。500台分のカーポートでメガソーラーに匹敵する1MWの電力を供給できる。年間の発電量は一般家庭の320世帯分になり、全量をアウトレットの共用部分で自家消費する。

» 2016年03月23日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 カーポート型の太陽光発電設備(PVカーポート)を導入したのは、東京の都心部から50キロメートルほどの距離にある「あみプレミアム・アウトレット」である(図1)。茨城県の阿見町(あみまち)に2009年に開業したアウトレットモールで、三菱地所と米国Simon Property Groupの合弁会社「三菱地所・サイモン」が国内で展開している9カ所のアウトレットモールの1つだ。

図1 「あみプレミアム・アウトレット」。出典:三菱地所・サイモン

 全体で約3900台分ある駐車場のうち、約500台分のスペースにPVカーポートを設置した(図2)。1台分のPVカーポートで約2kW(キロワット)の発電能力があり、全体で最大1MW(メガワット)の電力を供給できる。3月18日に運用を開始して、年間の発電量は115万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して320世帯分に相当する。

図2 駐車場に設置したPVカーポート(上、画像をクリックすると拡大)、設置場所(下)。出典:三菱地所・サイモン、オリックス

 発電した電力は売電しないで、全量をアウトレット内の施設の共用部で自家消費する。太陽光発電だけで年間の電力使用量の80%を供給できる見通しだ。三菱地所グループが推進する環境経営の一環で取り組む。太陽光発電の電力を利用することによって、年間に58万トンのCO2(二酸化炭素)排出量の削減を見込んでいる。

 この事例をモデルケースにして、他の8カ所のアウトレットでもPVカーポートの導入を進める方針だ。屋外の駐車場にPVカーポートを設置すると、夏には遮熱効果を発揮して自動車内の温度上昇を抑えられるほか、悪天候の時には雨よけの機能を果たすため、来場者の満足度向上にもつながる。

 PVカーポートはオリックスが供給する。オリックスは1年前の2015年3月に豊通ファシリティーズと共同でPVカーポートの販売を開始した。ドイツ製の架台を日本の建築基準法に対応させたもので、駐車スペースの方角に合わせて設置することができる(図3)。

図3 建築基準法に対応した4タイプのPVカーポート。出典:オリックス、豊通ファシリティーズ

 第1号の導入事例は家具メーカーが愛知県で運営するアウトレットである。84台分の駐車スペースを利用して、189kWの電力を供給できる(図4)。この駐車場では東西に対向する2列のPVカーポートを設置した。

図4 PVカーポートの導入例(カリモク家具の「緒川アウトレット」、愛知県知多郡)。出典:オリックス、豊通ファシリティーズ

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