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» 2016年03月28日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:鉄道初の試み開始、「太陽光+水素」で安心を得る (1/2)

エネルギー源としての水素の用途が広がり続けている。2017年春には鉄道初の事業が始まる。再生可能エネルギー由来の水素を駅で利用するという計画だ。太陽光発電システムから電力を得て、余剰分を水素ガスとして蓄える。必要に応じて燃料電池を動かして電力と熱を得る。JR東日本と川崎市が協力し、東芝がシステムを納入する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20160328Toshiba_map_250px.png 図1 広がる水素利用 武蔵溝ノ口駅(青)と、川崎市港湾振興会館(赤)、横浜市港湾局大黒ふ頭(黒)の位置

 JR東日本横浜支社と川崎市は、2016年3月24日、南武線武蔵溝ノ口駅(川崎市高津区)において再生可能エネルギー由来の水素を活用するための整備を始めると発表した(図1)*1)*2)。2017年春の稼働開始を目指す。「2016年10月に自立型水素エネルギー供給システムを納入する予定だ」(東芝)。

 JR東日本はさまざまな環境保全技術を駅に導入する取り組み「エコステ」を2012年から進めている。

 中央線四ッ谷駅ではLED照明や屋上緑化、東北本線平泉駅では太陽光発電と蓄電池、京葉線海浜幕張駅では太陽光発電と小形風力発電を導入している。常磐線湯本駅では太陽光発電と温泉熱、東北本線福島駅では地中熱や有機薄膜太陽電池などを導入した。

 川崎市は川崎水素戦略を2015年に策定し、JR東日本と包括連携協定を締結して、これまで水素エネルギーの導入に向けて検討を重ねてきた。「JR東日本とは新駅開設や駅前の整備、駅に併設する保育所の整備などさまざまな協力を進めている。今回は低炭素、スマートシティをテーマとした事業だ。当市の予算は使わないものの、許認可をスムースに進めており、今後は一部市の用地の活用なども想定している」(川崎市総合企画局スマートシティ戦略室、以下川崎市)

*1) 南武線は東京都立川市と神奈川県川崎市を結ぶ路線。多摩川にほぼ沿った形で北西から南東に走る。武蔵溝ノ口駅の乗車人数は1日当たり8万人程度。東京急行電鉄田園都市線溝の口駅との乗換駅でもある。
*2) 武蔵溝ノ口駅に導入する自立型水素エネルギー供給システム「H2One」は、川崎市臨海部の公共施設「川崎市港湾振興会館及び東扇島中公園」で実証運転中である(関連記事)。東芝は、H2Oneをこれまで2基納入している。最初の事例は、ハウステンボス(長崎県佐世保市)の「変なホテル」(関連記事)。次の事例が大黒ふ頭(横浜市鶴見区)の「横浜港流通センターである(関連記事)。

BCPと二酸化炭素排出量削減が目的

 武蔵溝ノ口駅では、図2に挙げたさまざまな設備を導入する。エコメニューとして創エネ、省エネ、エコ実感、環境調和をうたい、エコメニュー全体によって二酸化炭素排出量の20%以上の削減を目指すとした。

yh20160328Toshiba_groundplan_590px.png 図2 武蔵溝ノ口駅における「エコステ」整備内容 駅構内で水素を扱う。出典:JR東日本、川崎市

 目玉は太陽光発電システムと自立型水素エネルギー供給システム(図3)の組み合わせだ。「今回は災害時などの事業継続計画(BCP)対策を重視して水素のシステムを導入する。例えばトイレだ。トイレはポンプや照明、人感センサーなど量は多くないとはいえ電気を使う。電力が途絶えると利用が難しくなる。ここに水素由来の電力を供給する。夏場の電力のピークカット、ピークシフトなどへの応用を今後の課題として捉えている」(川崎市)。

yh20160328Toshiba_platform_558px.png 図3 プラットホームから見える位置に水素関連装置を置く エコ表示盤はエコ実感に役立てる。出典:JR東日本、川崎市
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