全国8000カ所の太陽光発電設備と連携した電力の小売が始まる。太陽光発電の遠隔監視サービス「エコめがね」を提供するNTTスマイルエナジーが太陽光を主体にした電力の販売に乗り出す。「エコめがね」を新規に導入する家庭を対象に、初年度で1万世帯を獲得して太陽光発電を促進する狙いだ。
NTTスマイルエナジーは5月中旬から「太陽のでんき」の販売を開始する(図1)。「太陽のでんき」は昼間の8時〜16時に固定価格買取制度(FIT)による太陽光100%の「FIT電気」を供給する点が特徴だ。新電力で最大手のエネットが買い取ったFIT電気を家庭向けに提供する。
NTTスマイルエナジーの主力事業は全国各地の太陽光発電設備にセンサーを設置して発電状態を遠隔で監視する「エコめがね」である(図2)。現時点で4万カ所の太陽光発電設備を監視中で、そのうちの8000カ所から発電した電力をエネットが買い取っている。合計すると27万kW(キロワット)にのぼる発電設備が買取の対象だ。
エネットは「エコめがね」のユーザーから買い取ったFIT電気と自社で発電・調達するLNG(液化天然ガス)の電力を組み合わせて「太陽のでんき」を供給する(図3)。対象の地域は沖縄と一部の離島を除く全国である。料金は各地域の電力会社が家庭向けに提供する標準メニューの「従量電灯」の単価に合わせる予定だ。
ただし新規に「エコめがね」を導入したユーザーに限定して販売する。ユーザーは電力を消費するだけではなく、時間帯によって太陽光の余剰電力を売電することができる。「太陽のでんき」のユーザーには売電量に応じて「エコめがねおすそわけポイント」を付与する。家庭の屋根で発電した電力を他の家庭に「おすそわけ」するイメージだ。
家庭内で電力の消費量を削減するほどポイントが増える仕組みで、節電を促進する効果が期待できる(図4)。一般家庭の太陽光発電で標準的な4kWの設備の場合に、月間で平均150円程度のポイントになる見込みだ。毎月の電気料金からポイント分を割り引く。
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