木質バイオマス発電で1万4000世帯分の電力、小売電気事業者のFIT電気に自然エネルギー(1/2 ページ)

新しい木質バイオマス発電所が福井県で運転を開始した。地域の間伐材などを集約してチップの加工から発電まで一貫体制で実施する。年間に1万4000世帯分の電力を作ることができ、売電収入は12億円にのぼる見込みだ。売電先は再生可能エネルギー主体の電力を販売する小売電気事業者である。

» 2016年04月20日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 福井県の中で面積が最大の大野市は東部の山岳地帯にある(図1)。周囲を高い山々に囲まれた大野市の一角で、木質バイオマスを燃料に利用する「福井グリーンパワー大野発電所」が4月1日から運転を開始した。

図1 大野市の風景と位置。出典:大野市秘書政策局

 発電能力は7MW(メガワット)と大きくて、1年間で334日の稼働を予定している。年間の発電量は5000万kWh(キロワット時)に達する(図2)。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万4000世帯分に相当する。約1万世帯が暮らす大野市の家庭が必要とする電力の1.4倍を再生可能エネルギーで供給できる。

図2 「福井グリーンパワー大野発電所」の全景。出典:神鋼環境ソリューション

 発電事業者は2014年に大野市内に設立した福井グリーンパワーである。神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューションを中心に、石油元売大手の出光興産、さらに地元の九頭竜(くずりゅう)森林組合とニューチップ運送の4者が出資している。発電事業を始めるにあたり、森林組合とチップ加工業者が参加して燃料を安定調達できる体制を整えた。

 燃料になる木材は森林で伐採した中でも、形や品質が悪いC材・D材と呼ばれる用途のない部分だ(図3)。このほかに近隣の製材工場などから出る端材などを加えて、年間に7〜8万トンにのぼる未利用の木材をチップに加工して発電に利用する。

図3 木材の調達ルート(上)、区分と使用量(下)。出典:福井グリーンパワー
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