太陽光発電の出力制御量を最小に抑える、東北電力が予測システムの運用開始エネルギー管理(1/2 ページ)

東北電力は管内の太陽光発電による総出力を30分ごとに更新できるシステムを開発した。5キロメートル四方の単位で日射量を予測して出力を計算する。電力の需要が小さい日には送配電網に接続している発電設備の出力を制御する必要性が生じるが、予測精度を高めて制御量を少なく抑える。

» 2016年04月21日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東北電力が開発した太陽光発電の出力予測システムは、気象庁の日射量データを利用する。予報データと日照時間・日射量の実績データを組み合わせて、各地の日射量を予測することから始める。そのうえで東北電力が蓄積した太陽光発電設備の出力実績をもとに総出力を予測する手法だ(図1)。実績データを蓄積しながら継続的に予測精度を向上させることができる。

図1 新たに開発した太陽光発電出力予測システムの予測手法。出典:東北電力

 新しい予測システムは三菱電機と共同で開発したもので、4月に入ってから運用を開始した。日射量の予測は当日分と翌日分を5km(キロメートル)四方のメッシュごとに実施する。さらに2日後と週間の予測も20kmのメッシュごとに可能だ(図2)。従来は各県の気象台1カ所だけを対象に予測していた。

図2 従来の予測手法と比べた改善点。km:キロメートル。出典:東北電力

 日射量の予測をきめ細かく実施することで、太陽光発電の総出力を当日分は30分ごとに更新できるようになった(図3)。翌日分も3時間ごとに更新する。東北電力の管内では太陽光発電設備が急増した結果、電力の需要が小さくなる5月には供給力が過剰になる事態が想定される。その場合には一部の発電設備の出力を制御する必要があり、対象の発電設備を前日までに決めることになっている。

図3 予測システムの画面イメージ。出典:東北電力

 新開発のシステムによって太陽光発電の翌日の総出力を高い精度で予測できれば、制御量を最適に見積もることが可能になる。さらに当日の総出力を30分ごとに予測することによって、管内全体の供給量を調整する火力発電の運用効率の向上につながるメリットもある。

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