佐賀県は海洋に眠る再生可能エネルギーの開発を促進するため、民間の事業者を対象に補助金の公募を開始した。洋上風力をはじめ潮流・波力・潮汐や海洋温度差を利用した発電プロジェクトに対して最高1000万円の補助金を交付する。すでに沖合では観測機器を使って気象・海象調査を実施した。
島国の日本には周辺の海にも再生可能エネルギーが豊富にある。未来の再生可能エネルギーに向けて、政府は全国7カ所を実証フィールドに選定した。そのうちの1つが佐賀県の北部にある加部島(かべしま)の沖合だ(図1)。この海域では年間を通して強い風が吹き、潮の流れも速い。
佐賀県は実証フィールドを生かして海洋の再生可能エネルギーを拡大する方針で、新たに民間の事業者を対象に補助金のプログラムを開始した。海洋の再生可能エネルギーには洋上風力のほか、潮流、波力、潮汐(潮の満ち引き)、海洋温度差が含まれる。これらの再生可能エネルギーを利用した発電設備の研究開発や実証実験に対して補助金を交付する方針だ。
人件費や装置購入費、設置工事費などの合計額の3分の2までを補助する。ただし佐賀県の企業が参画したうえで、海洋再生可能エネルギーの産業を県内に創出できることが条件になる。交付先は1件に限定して、最高で1000万円の補助金を予定している。公募期間は5月9日から31日までの約3週間である。
佐賀県は海洋再生可能エネルギーを中核に地域産業の活性化を図る「佐賀モデル」の構築を目指している。漁業や観光業との連携をはじめ、造船などの製造業や建設業にも新たな需要をもたらす狙いだ(図2)。海洋エネルギーを推進する協議会の会長に漁業協同組合の代表者が就任して地元の協力体制も整えた。
実証フィールドの加部島沖では、海洋再生可能エネルギーを推進するために気象・海象の実測調査を2015年11月に実施済みだ。「ライダーブイ」と呼ぶレーザー光を使った観測機器を洋上に浮かべて、上空の風速・風向、海面の波高・波向・波周期、潮流の流速・流向を測定した(図3)。
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