電力の自由化でLPガス会社が集結へ、楽天と組んで電力をセット販売電力供給サービス(1/2 ページ)

インターネットサービスの楽天と中小のLPガス会社が共同で電力のセット販売に乗り出す。電気料金に「楽天スーパーポイント」を付与するほか、電力の使用量を測定・分析できるHEMSを使って家庭向けのサービスを提供する計画だ。共同事業の中核になる協同組合が5月13日に業務を開始した。

» 2016年05月18日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 楽天はLP(液化石油)ガスで中堅のクレックスと合弁で小売電気事業者の「クレアールエナジー」を2016年1月に設立している(図1)。新たにクレアールエナジーを中核に発足した「エネルギー需要開発協同組合」と共同で、中小のLPガス会社を対象にした電力小売の支援サービスを展開する。

図1 楽天とクレックスグループのエネルギーサービス。出典:クレアールエナジー
図2 「楽天スーパーポイント」のロゴ。出典:楽天

 支援サービスは2種類ある。1つは楽天がインターネット通販サービスの利用者などに提供している「楽天スーパーポイント」をLPガス会社の電力販売でも付与できるようにする。楽天スーパーポイントは会員数が8000万人を超える国内最大のポイントプログラムで、LPガス会社にとっては顧客を獲得するための特典として利用できる(図2)。

 もう1つは「簡易HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)」を使った支援サービスだ。HEMSで測定・分析した電力の使用状況に合わせて生活関連の情報サービスを提供できるようにする(図3)。簡易HEMSは楽天が小売電気事業者のエネットなどと共同で開発した低価格の管理システムである。

図3 「簡易HEMS」を利用した家庭向けサービスの提供イメージ。出典:楽天

 LPガス会社は全国で2万社以上にのぼり、大半が中小規模の事業者だ。都市ガスと比べて国内の販売量は半分程度だが、需要家の数は全国で2400万にのぼる(図4)。LPガスは「プロパンガス」の名称で知られていて、電力や都市ガスと違って当初から小売は自由化されている。

図4 国内のガス事業者(2013年3月時点)。出典:資源エネルギー庁
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