経済産業省は水素燃料の取引における適正計量の実現を目的に、水素の計量システムに関する日本工業規格(JIS)を制定した。水素燃料の計量精度に関して等級を定めるなど計量器メーカーの技術開発を促進するものとなっている。将来のさらなる燃料電池車などの普及を見据え、消費者保護の観点からも適切な水素計量の実現を推進する。
燃料電池車(FCV)の普及をはじめとする水素社会の実現に向け、産官連携の体制で整備が進められている水素ステーション。現在、全国で80カ所程度が整備されているところだ。経済産業省は2016年5月20日に、こうした水素ステーションで使用する水素燃料の計量システムの日本工業規格「JIS B8576」を発表した。
水素ステーションでFCVに水素を充填(じゅうてん)する場合、水素供給事業者が決めた1kg当たりの価格と、充填した量をもとに支払い料金が決まる。今回発表したJIS規格はこうした水素充填量のより正確な計量を目的に制定したものだ。適正な計量は消費者保護の観点からも非常に重要なポイントである。国内の研究開発成果、先進各国の海外調査結果や類似の国内外の規格を参考にして制定した。
現在設置が進められている水素燃料計量システムの最大許容誤差は±5%だ。技術的に成熟が進んでいるガソリン充填計量器は±1%であることと比較すると、大きな差がある。そこで今回制定したJIS規格では水素燃料の計量器に対する4段階の精度等級を導入した(図1)。
精度等級 | 最大許容誤差 | 使用中最大許容誤差 | 目量(kg) |
---|---|---|---|
2 | ±1.5% | ±2.0% | 0.001〜0.005 |
3 | ±2.0% | ±3.0% | 0.005〜0.01 |
5 | ±4.0% | ±5.0% | 0.01〜0.02 |
10 | ±8.0% | ±10% | 0.01〜0.02 |
図1 水素燃料計量システムの精度等級 |
各等級において、計量システムの使用前に行う検査の合格基準である最大許容誤差と、使用中に許容される最大許容誤差の2つを定めている。こうした基準を明確化することで、計量器メーカーの技術開発を促す狙いだ。
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