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» 2016年06月14日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2016年版(8)茨城:バイオマス発電で全国1位、太陽光と風力の勢いも衰えず (1/4)

茨城県の再生可能エネルギーが活発だ。間伐材を利用した木質バイオマス発電や下水の汚泥を発酵させたバイオガス発電が相次いで動き出した。ゴルフ場の跡地には巨大なメガソーラーが生まれ、アウトレットモールでも太陽光発電で電力の供給が始まった。沿岸部の風力発電も増え続けている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 首都圏に近い茨城県の北部には森林が広がり、建築用の木材を中心に林業や製材業が盛んだ。その中心に位置する常陸太田市(ひたちおおたし)で、「宮の郷木質バイオマス発電所」が2015年11月に運転を開始した(図1)。地域の森林で伐採した木材のうち先端部や曲がった部分は用途がなかったが、新たに木質バイオマス発電用の燃料として利用できるようになった効果は大きい。

図1 「宮の郷木質バイオマス発電所」の全景(上、画像をクリックすると拡大)、立地する工業団地(下)。出典:日立造船、茨城県立地推進室

 発電能力は5.75MW(メガワット)ある。年間の発電量は3600万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると1万世帯分になる。常陸太田市の総世帯数(約2万世帯)の5割に電力を供給できる規模だ。発電した電力は固定価格買取制度で売電する。未利用の木材による電力の買取価格は1kWhあたり32円(税抜き)になり、年間の売電収入は11億円強を見込める。

 この木質バイオマス発電所を運営するのは日立造船で、自社製のボイラーを導入して発電所を建設した。発電所に隣接して木質チップの製造工場も地元の事業者と共同で運営している。同じ工業団地の中には森林組合や製材所が集まっているため、周辺の森林から大量の木材が送られてくる。その一部を使ってチップを製造して発電に利用する。年間に消費する木質チップの量は6万3000トンにのぼる。

 茨城県は地勢や気候などの自然条件をもとに6つの地域ゾーンに分かれる(図2)。このうち常陸太田市を含む北部の山間ゾーンに木質バイオマスが大量に存在する。一方で畜産系や農業系を含めてバイオマス全体の利用可能量は、平野が広がる南部や西部に多い。

図2 茨城県の地域特性によるゾーン(上)、地域別のバイオマス利用可能量(下)。出典:茨城県企画部

 首都圏に近い南部の守谷市(もりやし)では、下水の浄化センターでバイオガス発電が始まっている。発電能力が25kW(キロワット)のガス発電機7台を導入して2015年10月に運転を開始した(図3)。全体の発電能力は175kWになり、年間に140万kWhの電力を供給できる。一般家庭で390世帯分の電力になる。

図3 「守谷バイオガスパワー」の発電設備(画像をクリックすると事業スキームも表示)。出典:水ing

 発電事業者は水処理専門会社の水ing(スイング)で、守谷市からバイオガスと土地の提供を受けて発電に利用する。水ingは発電した電力を売電して収益を得る一方、守谷市にバイオガスの購入費と土地の賃借料を支払うスキームだ。浄化センターでは下水の処理に伴って発生するバイオガスが大量に余っていたが、新たな収益源をもたらした。

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