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» 2016年06月17日 11時00分 UPDATE

法制度・規制:天然ガスのパイプライン整備に国が動き出す、都市ガスの新規参入を促進 (1/2)

2017年4月に迫った都市ガスの小売全面自由化だが、ガスを供給するパイプラインの整備が遅れている。都市ガスの供給区域は大都市を中心に国全体の6%しかカバーできていない。国が主導してパイプラインの整備を進める一方、小売の新規参入を促すため既存のガス会社に営業行為の規制を加える。

[石田雅也,スマートジャパン]

 都市ガスの利用者は全国で約2900万にのぼるが、ガスの供給区域は国土全体の6%に限られている。山林や原野を除いても18%程度にとどまる。家庭や企業に都市ガスを供給するためのパイプラインが首都圏をはじめ大都市の周辺にしか敷設されていないためだ(図1)。

図1 都市ガスの供給区域と天然ガスパイプライン(2015年1月時点)。出典:資源エネルギー庁

 電力に続いて都市ガスの小売全面自由化が2017年4月に始まり、ガス料金の値下げや電力とガスのセット割引に期待が高まっている。ところが現実に恩恵を受けられる対象は、電力の利用者(全国で約8300万)のうち3分の1程度に過ぎない。

 これまで都市ガスを供給するパイプラインの整備は大手のガス会社を中心に民間企業に任されてきた。パイプラインの敷設範囲が需要の多い地域に集中するのは当然の結果だ。政府は都市ガス市場の拡大と競争の促進に向けて、天然ガスのパイプライン整備に取り組んでいく。

 電力の場合には2015年4月に発足した「電力広域的運営推進機関」が国全体の送配電ネットワークの整備を先導する役割を担っている。これと同様の仕組みを天然ガスパイプラインの拡大計画にも導入して、合わせてガス供給事業者などで構成する会議体を設置する予定だ(図2)。

図2 天然ガスパイプライン整備促進の仕組み(画像をクリックすると注釈も表示)。出典:資源エネルギー庁

 現在のところパイプラインを整備するスケジュールやカバー率の目標などは未定である。新しい体制のもとでパイプラインの整備が始まるのは早くて数年先と見られるが、6年後の2022年4月には都市ガス大手3社の導管事業を分離することが決まっているため、それまでに具体的な取り組みを開始するのが望ましい。

 都市ガスを供給する導管は全国で25万キロメートルに及ぶ。そのうち50%以上を東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの大手3社が保有している(図3)。今後は電力会社をはじめ新規参入の事業者も導管を拡大していく見通しだが、当面は大手3社の導管を利用して家庭や企業に都市ガスを供給する事業者が多くなる。

図3 都市ガスの調達・輸入から小売販売までの仕組みと事業者。出典:資源エネルギー庁
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