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» 2016年06月20日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:世界最大規模のCO2フリー水素製造へ、2020年に福島県で運転開始 (1/2)

安倍総理が3月に表明した「福島新エネ社会構想」の骨子が明らかになった。注目すべきは再生可能エネルギーによる1万kW級の水素を製造するプロジェクトで、2020年までに運転を開始する計画だ。再生可能エネルギーの導入量を拡大するために、福島県内の送電線の増強にも官民一体で取り組む。

[石田雅也,スマートジャパン]

 政府は「福島新エネ社会構想」の骨子案をまとめて6月16日に公表した。原子力発電所の事故で甚大な被害を受けた福島県を未来のエネルギー社会のモデルとして復興させるために、関係省庁に加えて福島県と東京都、電力会社や国の研究機関が参画して官民一体で推進する構想だ。

 骨子案は「再生可能エネルギーの導入拡大」「水素社会実現のモデル構築」「スマートコミュニティの構築」の3つのテーマで構成する(図1)。それぞれのテーマで2016年度からプロジェクトを立ち上げ、2020年を目標に福島県を新エネ社会のモデル拠点として発展させる。

図1 「福島新エネ社会構想」のテーマと重点プロジェクト(画像をクリックすると実施中のプロジェクトも表示)。出典:資源エネルギー庁

 中でも注目すべきは水素関連の取り組みである。福島県内で急速に拡大中の再生可能エネルギーによる電力を使って、CO2(二酸化炭素)を排出しないクリーンな水素を大量に製造できる実証設備を建設する。世界最大の1万kW(キロワット)級の電力から水素を製造することが目標で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに運転を開始する予定だ。

 2016年度中に実証プロジェクトの検討を開始して具体的な方策をまとめる。同時に福島県で製造した水素を東京まで輸送・貯蔵できる技術の実証にも取り組む(図2)。福島県内でも水素ステーションを整備して、燃料電池車や燃料電池バス、燃料電池フォークリフトの導入を推進していく。

図2 福島県産のCO2フリー水素を東京都内で活用するイメージ。FREA:福島再生可能エネルギー研究所。出典:福島県

 すでに福島県産のCO2フリー水素を東京都で活用するプロジェクトは動き始めている。5月に福島県と東京都、さらに国の研究開発機関である産業総合研究所と東京都環境公社が加わって四者協定を締結した(図3)。水素を製造する福島県と利用する東京都が連携して研究開発を進めるほか、両地域の民間企業を相互に支援して産業の振興にもつなげる狙いだ。

図3  CO2フリー水素の活用に向けた四者協定。出典:東京都
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