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» 2016年06月29日 15時00分 UPDATE

太陽光:通信回線で太陽光の出力を遠隔制御、NEDOが開発に着手

NEDOは新たな太陽光発電の遠隔出力制御システムの開発に着手する。産業用から家庭用までの太陽光発電設備に対して、通信回線を用いて出力制御を行う遠隔出力制御システムの開発および実証試験を行う計画だ。出力変動をコントロールして再生可能エネルギーを安定的かつ最大限に活用できるようにする。

[長町基,スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年6月27日、天候により出力が変動する再生可能エネルギーを安定的に、また最大限に活用するために、太陽光発電の遠隔出力制御システムの開発に着手すると発表した。さまざまな太陽光発電設備に対してキメ細かな出力制御を可能することで、電力系統の安定運用の実現を目指す。

 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候によって出力が大きく変動する。系統接続量が増加した場合、電力網が不安定になる可能性が高まるため、出力変動を予測するなどの電力系統の安定運用に向けた取り組みが重要だ。こうした背景から、既に再生可能エネルギー固定価格買取制度の省令改正(2015年1月)で、新たに系統連系する太陽光発電と風力発電などには遠隔出力制御システムの取り付けが義務づけられた。しかし、通信方式の標準化や事業者側の設置する装置の規格化はされておらず、システムの標準化と低コストでの実用化が求められている。

 そのためNEDOは新たに、大規模な産業用から家庭用を含む小規模までの太陽光発電設備に対して、通信回線を用いた出力制御を行う遠隔出力制御システムの開発と実証試験の事業に着手することにした。具体的には電力会社の中央給電指令所などで、地域内に分散している太陽光発電設備の発電出力を把握し、これを踏まえた出力制御の指令を行うための機器や発電出力のマネジメントシステムの構築のための実証試験を行う。また、エネルギーマネジメントシステムや蓄エネルギーとの連動などを踏まえた需給制御手法の開発と実証、自端制御機能を備えたPCS(パワーコンディショナ)機能の高度化開発も実施する。これらを通じて、再生可能エネルギーを最大限活用した電力系統の安定制御の実現を目指す(図1)。

図1 開発するシステムおよび実証のイメージ 出典:NEDO

 事業ではシステムの開発に向けて「太陽光発電の出力制御手法の確立」と「太陽光発電の出力制御手法の高度化」に取り組む。経済産業省の新エネルギー小委員会(系統WG)において双方向/単方向通信方式による遠隔出力制御システムの要求仕様が策定されている。この仕様に従いシステムを開発し、出力制御の実運用に向けて公平性と運用実行性を確保するため、系統運用者側のシステムの高度化を図る。また、実運用規模の再生可能エネルギー発電出力を念頭においた実証によりシステムの有効性評価を実施する。この結果を踏まえて、太陽光発電を主体とした再生可能エネルギー発電設備の出力制御手法を確立する。

 再生可能エネルギーを最大限活用するためには、需要側調整のデマンドシフト、蓄エネルギーや出力制御などを組み合わせた、きめ細かな制御技術が必要になってくる。今回の事業では、これら技術にかかわる研究開発も行い、再生可能エネルギー発電設備の出力制御手法の高度化を目指す。併せてスマートインバータや分散型電源マネジメントシステムなど分散側電源の遠隔制御高度化に関する研究開発も行う。

 なお、委託予定先は東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、関西電力、北陸電力、九州電力、東京大学、早稲田大学、エネルギー総合工学研究所となっている。

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