エネルギーの完全自給自足を目指す浜松市、スマートな政令指定都市へスマートシティ(1/2 ページ)

電力の地産池消を目指す浜松市は、太陽光発電の総合展示会「PVJapan2016」で講演し、官民協力による地方の地産地消エネルギーシステム実現に向けた取り組みを紹介した。

» 2016年07月01日 15時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 電力の地産池消を目指す浜松市は、太陽光発電の総合展示会「PVJapan2016」(2016年6月29日〜7月1日、パシフィコ横浜)で講演。「浜松版スマートシティ」実現への取り組みや2016年4月から開始した官民連携による電力小売事業「浜松新電力」の取り組みなどを紹介した。

photo 浜松市 エネルギー政策担当参与で、浜松新電力の取締役である北村武之氏

 講演に立った北村武之氏は、浜松市のエネルギー政策担当参与であり、さらに浜松新電力の取締役である。浜松市は「浜松市エネルギービジョン」を掲げ、浜松版スマートシティ実現に向けた取り組みを進めている。

 北村氏は浜松市がエネルギーへの取り組みを強化し始めたきっかけとして東日本大震災を挙げる。「東日本大震災の影響で計画停電などが行われるのを見た。幸いにも中部電力では計画停電は行われなかったが、モノづくりが産業の大きな比率を占める浜松市では大きなダメージがあると考えた。そこで、浜松市の中でエネルギーの自活を目指そうということになった」と述べている。

 役所は縦割り構造が基本である。エネルギーを生み出す再生可能エネルギーについても、太陽光、風力、バイオマス、中小水力、小規模火力などが、異なる管轄となっていた。これらについても市長がトップダウンで進め、横断組織である「新エネルギー推進事業本部(現エネルギー政策課)」を設立。グランドデザインとして「浜松市エネルギービジョン」を策定した。

エネルギーを完全に自給自足

 同ビジョンの中では「エネルギーに対する不安のない強靭で低炭素な社会『浜松版スマートシティ』実現」を目標に掲げ、自律分散型電源の導入や省エネの推進の他、エネルギーを賢く使うスマートコミュニティの構築を進めることを示している。

 浜松市が使用する電力消費量は年間500万MWh(メガワット時)である。一方で利用可能な再生可能エネルギーのポテンシャルは、年間で太陽光発電が119万MWh、大型風力発電が142万MWh、バイオマス発電が11万MWh、小型水力発電が9000MWhで合計273万MWhとなっている。これに天竜川の大・中水力発電量を足すと十分エネルギーの自給自足が可能だという計算である。

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