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» 2016年07月13日 13時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:ため池の太陽光発電は30度の傾斜が効果的、年間の発電量1.3倍に (1/2)

太陽光発電の新たな導入方法として、ダムや池の水面を利用した水上式が注目を集めている。農業用のため池が1万5000カ所もある香川県では、1年間かけて実証実験を続けて効果を検証した。ため池の水面に浮かべるフロートの形式や太陽光パネルの設置角度の違いによる発電量を比較している。

[石田雅也,スマートジャパン]

 香川県は全国で面積が最も小さい県だが、瀬戸内式の気候で雨が少なく、年間の日射量は多い。農業用の水を確保するために県内には1万5000カ所のため池があり、池の水上で太陽光発電を実施できれば再生可能エネルギーの導入量を増やすのに有効だ。県の農政水産部が「吉原大池」で、2014年11月から1年以上にわたって水上式による太陽光発電の実証実験に取り組んだ(図1)。

図1 「吉原大池」の全景。出典:香川県農政水産部

 このほどまとまった実験結果によると、年間の発電量は当初の想定を5%上回り、水上式の効果が明らかになった。中でも太陽光パネルの設置角度を30度に傾けた場合に発電量が最大になった。実証実験では水面に浮かべるフロートを市販の3種類で比較できるようにしたほか、1種類のフロートでは太陽光パネルの設置角度を5度、12度、30度に分けて発電量の比較を試みた(図2)。

図2 実証実験の太陽光発電設備(画像をクリックすると太陽光パネルの設置状態を拡大)。出典:香川県農政水産部

 3種類のフロートのうち1つ目は樹脂製の中空構造で、日本国内で稼働している水上式の太陽光発電設備で最も多く使われているフランスのシエル・テール社の製品である。そのほかの2つは発砲スチロール製だが、1種類は正方形のユニットを浮かべて太陽光パネルを設置する方式、もう1種類は塩化ビニール製のパイプの中に発泡スチロールを充填して軽量化を図っている。

 樹脂製と発泡スチロール製では、フロートの施工方法やフロートの位置を安定させる係留方法に違いがある(図3)。採用した樹脂製のフロートは太陽光パネルの設置角度が12度に固定されるため、3種類のフロートすべてでパネルの設置角度を12度に統一して発電量を比較できるようにした。3つ目の発泡スチロールを充填したフロートだけは、5度と30度を加えて3通りの設置角度でも比較する。

図3 フロートの設置位置と係留方法。出典:香川県農政水産部

 全体では72枚の太陽光パネルを設置して、発電能力は合計で18.36kW(キロワット)である。実験期間中の2014年12月〜2015年11月の年間発電量は2万2926kWh(キロワット時)だった。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は14.3%になり、国内の太陽光発電の標準値(13〜14%程度)を上回っている。実証実験の前に過去30年間の日射量をもとに試算した発電量と比較しても約5%多かった(図4)。

図4 月別の発電量と日射量(画像をクリックすると拡大)。発電量:kWh(キロワット時)、日射量:MJ/m2(メガジュール/平方メートル)。出典:香川県農政水産部

 しかも実験期間中の日射量は過去30年間の平均値の98.3%で少なかった。それでも当初の想定を上回る発電量を得られた理由として、水上に設置した太陽光パネルの冷却効果が大きかったと農政水産部では推測している。太陽光パネルは光を受けて温度が上昇すると発電量が低下する傾向がある。水上では陸上よりもパネルの温度上昇を抑えることができる。

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