再生可能エネルギーなどを活用して「エネルギーの地産地消」を推進する電力小売事業者が全国で増えている。矢野経済研究所はこうした日本国内における地産地消モデルの電力小売事業に関する調査結果をまとめた。2016年度の市場規模は小売電気事業者の売上高ベースで135億円で、2020年度には約4倍の530億円まで拡大すると予測している。
矢野経済研究所は2016年7月22日、地産地消モデルの電力小売事業に関する調査結果を発表した。2015年度の国内の地産地消モデルの電力小売市場規模は、小売電気事業者の売上高ベースで135億円としている。2016年4月1日に始まった電力の小売全面自由化などの影響により、2016年度はさらに240億円まで拡大する見込みだ。
同調査における地産地消モデルの電力小売事業とは、特定地域の再生可能エネルギーによる発電電力を主体とし、その地域の電力需要家や提携した組合員・施設などに供給(電力小売)する事業形態のこと。こうした電力を、当該地域以外の提携した組合員・施設などに産地直送(電力小売)する事業形態も含める。
調査は矢野経済研究所の専門研究員による直接面談、電話および電子メールによるヒアリング、文献調査を併用し、2016年4〜7月に行った。
地産地消モデルの電力小売事業では、電気料金のメリットだけでなく、環境負荷が少ないことや地域活性化につながることのポリシーに賛同してもらいやすいため、家庭用などの低圧分野の電力需要家との契約が多くなる見通しである。これに対し50kW(キロワット)以上の高圧分野の電力需要家かつ民間施設の場合は、電気料金での価格メリットの訴求が契約獲得の条件になるとする。
今後、電力需要家が増えていくとともに、国内のさまざま地域で地産地消モデルの電力小売事業が新たに立ち上がっていくと考えられる。調査ではこうした影響から2017年度の地産地消モデルの電力小売市場規模は小売電気事業者の売上高ベースで340億円、2020年度には530億円まで拡大すると予測している。
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