海洋の再生可能エネルギーとして注目を集める潮流発電の実用化プロジェクトが国内で始まる。長崎県・五島列島の海底に、直径16メートルのタービンを備えた潮流発電機を設置する予定だ。発電能力は1基で2MWに達する。2019年に実証運転を開始して、潮流発電の実用化を目指す。
長崎県の西側に連なる五島列島は海洋再生可能エネルギーの宝庫で、3カ所の海域が国の実証フィールドに選ばれている(図1)。そのうちの1つ、久賀島(ひさかじま)の沖合で潮流発電の実用化プロジェクトが動き出す。九州電力グループの九電みらいエナジーを中心とするコンソーシアムが事業者になって2019年に実証運転を開始する予定だ。
潮流発電を実施する海域は久賀島と奈留島(なるしま)のあいだにある「奈留瀬戸」で、約2キロメートルの幅の海峡に強い潮流が発生する(図2)。奈留瀬戸の海底に商用レベルの潮流発電機を設置して実用化を目指す。1基で2MW(メガワット)の発電能力がある世界最大級の潮流発電機を設置する計画だ
潮流発電機はアイルランドのOpenHydro(オープンハイドロ)社が開発した「Open-Centre Turbine」を採用する。円筒形のタービンの中央が空間になっていて、その周囲を10枚以上の羽根(ローター)が回転して発電する仕組みだ(図3)。すでに欧米の7つの海域で導入実績がある。
実際に海底に設置する場合には基礎構造物の上にタービンを搭載する。タービンの直径は16メートルもあり、全体の重量は1200トンにのぼる(図4)。巨大なタービンが潮流を受けながら、1分間に10〜16回転して電力を作ることができる。
奈留瀬戸のプロジェクトでは2016〜2018年度の3年間かけて発電機の設計・製作と設置工事の準備を進めていく(図5)。2019年度に入ってから発電機を海底に設置して実証運転を開始する。実証運転は2019年度内に終了して、発電機を回収したうえで性能や耐久性を検証することになる。
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