電力会社3社が洋上風力発電へ、秋田県のプロジェクトに共同出資自然エネルギー(1/2 ページ)

秋田県の港で開発が進む洋上風力発電プロジェクトに東北・中部・関西電力の3社が参画する。2カ所の港に最大34基の大型風車を着床式で設置する計画で、実現すれば国内で最大の洋上風力発電事業になる見通しだ。電力会社を含む合計14社の共同出資で大規模なプロジェクトを推進していく。

» 2016年07月29日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 風力発電の導入が活発に進む秋田県で2014年から検討が始まった秋田港・能代港の洋上風力発電プロジェクトが大きく動き出した(図1)。発電事業者の丸紅が2016年4月に設立した特別目的会社の「秋田洋上風力発電」に合計14社の出資が決まり、建設に向けた事業化調査を共同で実施する。

図1 洋上風力発電事業の対象地域。出典:丸紅

 秋田洋上風力発電に新たに出資する13社には、関西電力と中部電力のほか、東北電力100%出資の「東北自然エネルギー」が加わる。各社は今後の拡大が見込める洋上風力発電事業のノウハウを取得しながら、将来の事業拡大につなげる狙いだ。電力会社3社のほかに、丸紅と共同で開発プロジェクトを推進してきた大林組とエコ・パワー、さらに秋田銀行など地元の企業が出資する。

 発電事業の対象になる秋田港と能代港は日本海に面して、年間を通じて西からの強い風が吹く。2港ともに陸地から近い港湾区域内の洋上に大型風車を配置する計画だ。発電設備を海底に固定する着床式で建設する。規模が大きいのは能代港で、最大20基の設置を見込んでいる(図2)。風車1基あたり5MW(メガワット)の発電能力で最大100MWになる。

図2 能代港の対象水域(上、赤枠内)、風車配置イメージ(下)。出典:秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検討協議会

 一方の秋田港には最大で14基を設置して70MWの規模を想定している(図3)。すでに丸紅など3社は2015年8月に環境影響評価の手続きを開始した。順調に進むと2018年には手続きを完了して建設工事に着手できる見込みだ。早ければ2021年にも運転を開始できる。

図3 秋田港の対象水域(上、赤枠内)、風車配置イメージ(下)。出典:秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検討協議会
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