ニュース
» 2016年08月10日 07時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:低コストな燃料電池へ前進、レアメタル不要の触媒材料を開発 (1/2)

燃料電池の普及に向けた課題の1つがさらなるコストの低減だ。電極触媒に用いる白金などの高価なレアメタルがコストを高める一因となっており、こうした貴金属を使わないカーボン触媒の研究開発が進んでいる。芝浦工業大学は窒素含有カーボン(NCNP)とカーボンナノファイバー(CNF)からなる炭素複合材料「NCNP-CNFコンポジット材料」の合成に成功。正電極触媒として実用化できれば、燃料電池などの低コスト化に貢献できるという。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 芝浦工業大学は2016年8月3日、ソリューションプラズマ処理を用い、窒素含有カーボン(NCNP)とカーボンナノファイバー(CNF)からなる「NCNP-CNFコンポジット材料」を開発したと発表した(図1)。白金などのレアメタルを使わない廉価な正電極触媒として実用化できれば、燃料電池などの低コスト化に貢献できるという。

図1 合成した「NCNP-CNFコンポジット材料」出典:芝浦工業大学

 リチウムイオン電池などに代わる次世代電池として、容量の大きい金属空気電池や燃料電池の開発が積極的に行われている。しかしこうした電池の正極で酸素を還元する触媒は、高価な白金などのレアメタルが使われており、これが電池の高コスト化につながっている。こうしたレアメタルを用いる触媒の代替として近年注目されているのがカーボン素材である。

 最近ではCNFとさまざまな素材を合成し、高性能な電極触媒の開発を目指す研究が進んでいる。今回芝浦工業大学では、CNFとNCNPの合成を目指した。合成方法は、常温環境下のソリューションプラズマ反応場である有機溶媒中に市販を混合し、ソリューションプラズマで処理するというものだ。CNFと窒素を骨格にもつ有機溶媒に対し、ソリューションプラズマ処理を行うことで、NCNPをあらかじめ用意しなくてもNCNP-CNFの複合材料を合成できるため、低コストだという(図2)。

 従来はNCNPそのものを合成するために、まず真空プロセスであるCVD(Chemical Vapor Deposition)などによってグラフェンのカーボン材料を合成し、その後アンモニアガスなどで高温処理を行う必要があった。これが高コスト化につながっていたが、今回開発した合成方法であれば、こうしたプロセスも簡略化できるメリットがある。大規模装置や高温環境を用意せずに合成できる点もコスト低減に寄与する。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.