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» 2016年08月16日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2016年版(17)新潟:都市と離島に眠るエネルギーを生かす、下水バイオガスから海流発電まで (1/4)

新潟県で再生可能エネルギーと農業を組み合わせたプロジェクトが相次いで始まった。都市部では下水の汚泥から作ったバイオガスでイチゴを育て、離島では太陽光パネルの下でブロッコリーを栽培中だ。近海の海流発電や浄水場の小水力発電、工業団地では木質バイオマス発電所の建設が進む。

[石田雅也,スマートジャパン]

 新潟市にある県営の「西川浄化センター」には、下水処理場としては珍しい植物栽培のハウスが2棟ある。1棟は冷温室、もう1棟は温室で、特産のイチゴや南国の果物などを栽培している(図1)。ハウスの冷暖房には下水の汚泥から作ったバイオガスを利用する。下水から取り出した再生可能エネルギーを植物の栽培に生かす日本で初めての試みだ。

図1 下水の再生可能エネルギーを利用した植物栽培の実証試験施設(上)、栽培中のイチゴ(下)。出典:新潟県都市局

 新潟県と長岡技術科学大学が2015年度から共同で取り組んでいる実証試験で、2016年6月に施設が完成した。この施設にはバイオガス発電機のほかに、下水熱の回収装置とCO2(二酸化炭素)の分離装置も備えている。バイオガスで発電して電力と温水を供給するだけではなく、下水を処理した再生水の熱で冷水と温水を作り出す。さらに分離したCO2をハウスに送り込んで光合成を促進する仕組みだ(図2)。

図2 実証試験設備の構成とエネルギーの流れ。出典:新潟県都市局

 バイオガス発電機は50kW(キロワット)の電力を作ることができる(図3)。ハウスと同時に下水熱の回収装置やCO2の分離装置にも電力を送る方式で、循環型のエネルギー供給システムを作り上げた。バイオガスの排熱と下水熱で作る温水はハウスの空調に利用してエネルギー効率を高める。

図3 バイオガス発電機(上)、ヒートポンプ(下)。出典:新潟県都市局

 この実証試験は国土交通省の支援を受けて2018年度まで続ける予定だ。ハウス内の温度・湿度・CO2濃度をコントロールしながら、さまざまな植物の最適な栽培条件を検証していく。雪国の新潟県でバナナやマンゴーなど南国の果物を再生可能エネルギーで栽培できれば、地域の農業の活性化にもつながる期待がある。

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