都市と離島に眠るエネルギーを生かす、下水バイオガスから海流発電までエネルギー列島2016年版(17)新潟(4/4 ページ)

» 2016年08月16日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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沿岸地帯に巨大なメガソーラー

 太陽光発電でも巨大なプロジェクトが動き出した。新潟市の海沿いに広がるゴルフ場の開発予定地だった場所に、発電能力が55MWのメガソーラーを建設中だ(図11)。77万平方メートルの用地に合計20万枚の太陽光パネルを設置する。年間の発電量は6000万kWhを見込んでいて、1万7000世帯分の電力を供給できる。2018年6月の運転開始を予定している。

図11 「新潟四ツ郷屋大規模太陽光発電所(仮称)」の完成イメージ。出典:オリックス

 この計画を推進するオリックスは建設・造成工事の一部を地元の企業に発注して、地域経済の活性化に役立てる方針だ。発電所を見渡せる展望スペースを設けて環境学習に利用できるようにするほか、周辺に道路を整備して防犯灯や防犯カメラも設置することにしている(図12)。

図12 太陽光発電所に併設する展望スペース(左)、周辺道路(右)。出典:オリックス

 新潟市の沿岸部は積雪量が少ないため、太陽光発電に及ぼす影響は小さい。実際に日本で初めての商用メガソーラーが2010年から、新潟港に近い昭和シェル石油の輸入基地の構内で運転を続けている(図13)。初年度の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は13%に達して、当時の全国標準12%を上回った。

図13 「新潟雪国型メガソーラー発電所」の全景(2014年に増設した第二メガソーラーを含む)。出典:昭和シェル石油

 雪国の再生可能エネルギーは太陽光からバイオマス、さらに海流発電も加えて広がりを見せる。県内の丘陵地帯の地下深くには、日本で有数の天然ガス田がある。その中心部の長岡市では国産の天然ガスを100%活用した火力発電所の建設プロジェクトも始まった(図14)。電力の供給基地として新潟県の役割は新たな方向へ進んでいく。

図14 「長岡火力発電所」の建設予定地。出典:長岡市商工部、長岡火力発電所

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2015年版(17)新潟:「洋上風力と潮流発電に日本海で挑む、内陸には雪と太陽光と水力発電」

2014年版(17)新潟:「雪に負けず増え続けるメガソーラー、日本海の風力や波力も有望」

2013年版(17)新潟:「雪国で生まれる小水力とバイオマス、冬の太陽光は角度でとらえる」

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