電力小売の契約変更が早くも伸び悩む、5月末の累計で80万件弱電力供給サービス(1/2 ページ)

2016年4月に始まった小売全面自由化だが、2カ月目の5月に入って契約変更件数が半減した。1カ月間で26万件にとどまり、4月からの累計でも80万件に届かない。全国の契約件数の1%未満である。一方で電力会社の自由料金メニューへ移行した件数は5月に急増して累計130万件を超えた。

» 2016年08月18日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 電力・ガス取引監視等委員会が発表した2016年5月の速報値によると、家庭を中心とする低圧の契約変更件数は全国を合わせて1カ月間で25万9235件だった(図1)。低圧の小売自由化を開始した4月には53万7343件あったことから、月間の契約変更件数は早くも半分以下にまで減っている。

図1 低圧の契約変更件数。2016年5月分(上)、2016年4月以降の累計(下)。みなし小売電気事業者=電力会社(10社)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 2カ月間の累計でも80万件弱にとどまった。全国の低圧の契約件数8547万件に対して1%に満たない(図2)。地域別では東京電力の管内が51万件で1.7%、次いで関西が18万件で1.3%まで伸びた。そのほかの8地域は低調だ。沖縄では2カ月が経過しても契約変更はゼロの状態が続いている。多くの地域の家庭では新規に参入した小売電気事業者の料金やサービスに魅力を感じていないようだ。

図2 全国の契約件数(2016年5月分)。みなし小売電気事業者=電力会社(10社)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 その一方で従来の電力会社による自由料金の新メニューへ移行する件数が大幅に増えている。5月だけで90万件を超えて、2カ月間の累計では130万件に達した。小売電気事業者に契約を変更した件数と比べて1.6倍にのぼる。この状況を見る限り、電力会社に対する一般家庭の信頼感は失われていない。

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