電力の契約を変更した89%が満足、3万人を対象にした国の調査で電力供給サービス(1/2 ページ)

電力・ガス市場の競争状況を監視する国の委員会が全国3万人を対象に、電力の小売自由化に関するアンケート調査を9月上旬に実施した。小売自由化の認知度は90%を超えて、実際に契約を変更した比率も10%近くに達した。契約を変更した人のうち89%は期待以上の満足を感じている。

» 2016年10月14日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 電力・ガス取引監視等委員会が大規模なアンケート調査を実施した目的は、電力の小売自由化がどのような価値を消費者に与えているかを分析するためである。沖縄を除く全国9地域の20〜69歳の男女から、合計3万人をスクリーニング調査の対象に選んだ。調査の時期は小売自由化から5カ月を経過した9月6日〜7日である。

 スクリーニング調査の回答をもとに、性別と年代ごとの人口構成に合わせて1万人分を抽出して、自由化の認知度や契約変更の状況を集計した。さらに地域ごとの契約切り替え件数に合わせて1000人を抽出したうえで、変更手続きにかかった時間や変更後の満足度を調べた(図1)。委員会が小売自由化後に実施した初めての調査結果には興味深い内容が多く含まれている。

図1 スクリーニング調査(上)と本調査(下)の回答者数。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 第1に小売自由化の認知状況を聞いたところ、「内容を詳しく知っている」と「知っている」と回答した比率は26.8%にとどまった(図2)。「なんとなく知っている」を加えると90.6%に増えるものの、認知度は決して高くない。しかも電力の購入先や料金プランを変更した人でさえ、「なんとなく知っている」との回答が26.0%、「知らない」と「聞いたことがない」も合わせて10%以上いる。

図2 小売自由化の認知度(画像をクリックすると拡大)。数値はカッコ内を除いて%。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 調査時点で購入先を変更していた比率は1万人のうち7.2%、電力会社の新しい料金プランに変更した比率は2.6%だった(図3)。両方を合わせると1割に近づいている。一方で変更していない人でも27.2%は比較検討したことがある。変更済みを含めて関心がある人の割合は全体の3分の1に達している。

図3 購入先・料金プラン変更状況(画像をクリックすると拡大)。数値はカッコ内を除いて%。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 実際に契約を変更した1000人に10段階で満足度を聞いた結果、中間のレベル5以上が88.6%にのぼった(図4)。満足度が高いレベル8以上も28.5%を占めていて、おおむね高評価と言える。こうした人たちの口コミが今後どのくらい広がるかによって、契約変更の状況は大きく変わりそうだ。

図4 購入先・料金プラン変更者の満足度(画像をクリックすると拡大)。数値は%。出典:電力・ガス取引監視等委員会
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