日本最大の営農型メガソーラーで植物を栽培、拡大する小水力発電に光と影エネルギー列島2016年版(31)鳥取(1/4 ページ)

冬に雪が降る鳥取県で太陽光発電の取り組みが活発だ。積雪対策として太陽光パネルを高く設置する施工法が定着してきた。農地に支柱を立てて建設したメガソーラーでは販売用の植物を栽培中だ。豊富な水量を生かして小水力発電が拡大するなか、土砂崩れで運転を停止する事態も発生した。

» 2016年11月22日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 日本海に面して平野が広がる北栄町(ほくえいちょう)は、鳥取県の中でも特に農業が盛んな場所だ。町内の広大な農地を利用して、日本で最大級の営農型メガソーラー「北栄ソーラーファーム」が2015年11月に運転を開始した(図1)。

図1 「北栄ソーラーファーム」の全景と近景(それぞれ画像をクリックすると拡大)。出典:エナテクスファーム

 建設した場所は以前から販売用の芝を栽培してきた農地で、広さは1万8000平方メートルある。地元で太陽光発電システムを販売・施工するエナテクスグループが建設・運営している。

 エナテクスは県や町と2年間にわたって協議を続けながら、農地の一時転用許可を受けて太陽光発電設備の建設に着手した。農地一面に高さ2.5メートルの支柱を組み上げて、その上に太陽光パネルを設置する施工法だ(図2)。合計で4200枚にのぼるパネルの角度は南向き8.4度に統一した。

図2 太陽光パネルの設置状態(画像をクリックすると拡大)。出典:エナテクスファーム

 全体の発電能力はちょうど1MW(メガワット)で、年間の発電量は105万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して290世帯分に相当する。発電した電力は全量を固定価格買取制度で中国電力に売電する方針だ。年間の売電収入は4200万円を見込んでいる。

 太陽光パネルの下ではビルの屋上緑化などに使う常緑キリンソウを栽培中だ。パネルが作る影の影響で地面に届く日射量は通常の50%程度に減るが、栽培には支障がないと考えている。この植物の販売収入を3年目以降に年間で175万円に拡大することが目標だ。発電事業と組み合わせて農業の収益を増やすソーラーシェアリングのモデルケースとして期待は大きい。

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