今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第4回は発電量の評価方法について紹介する。
2016年は特に太陽光発電の実績が予想収支に反して低い、という話をよく聞く。これは例年に比べて台風が多く発生し、降雨も多かったことに起因するのだが、単純な発電量だけを見て設備の不具合を疑っている発電事業者も多い。そこで今回は、発電設備のパフォーマンス(発電量)に対する評価方法について考えてみたい。
そもそも太陽光発電設備の発電量の評価はどのようにするべきだろうか。もっとも一般的な指標はシステム出力係数(Performance Ratio)であろう。Performance Ratioの頭文字をとってPR値ともいわれ、以下の式で求めることができる(図1)。
太陽光発電の発電量は、計画段階においてPR値を使ってシミュレーションで算出し、それをもとに稼働後のO&Mのフェーズで管理していくことが望ましいと考える。事前に算出したPR値を指標として参照することで、遮光や汚れによる損失、ケーブルやインバータに起因した損失など、実際に発生するさまざまな損失要素を加味した指数で発電量を把握でき、単純なシステムの出力実績だけでは分からない設備の実態を理解する足掛かりとなる。
発電所の売り手側(EPCなど)、買い手側(事業者)にこの認識が薄いと、天候の変動といった不可避の発電量の低減なども問題視するようになってしまい、結果的に追加調査/検査によりO&Mのコスト増につながる恐れもある。
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