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» 2017年02月14日 11時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(81):安い電力を売買する「ベースロード電源市場」、原子力を拡大する施策にも (1/2)

卸電力市場の活性化に向けた対策の中でも特に注目すべきは「ベースロード電源市場」である。発電コストが低い水力・原子力・石炭火力の電力を売買できる市場で、2019年度に取引を開始する予定だ。電力会社が独占してきた電源を新電力に開放する一方、原子力を推進する狙いが明確に見える。

[石田雅也,スマートジャパン]

第80回:「スマートメーターが全国で2000万台を突破、電力の自動検針が進む」

 政府は2020年4月に実施する発送電分離(電力会社の送配電部門の中立化)に向けて、新しい市場や制度の検討を進めている。有識者を交えた「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が主要な施策をまとめて2月9日に公表した。現在の案では4つの市場を2020年度までに創設して取引を開始する予定だ(図1)。

図1 電力システム改革の貫徹に向けた市場・制度の導入スケジュール。FIT:固定価格買取制度。出典:資源エネルギー庁

 新市場の1番目に挙げたのが「ベースロード電源市場」である。対象になる電源は発電コストが低くて供給力が安定している発電設備で、大規模な水力・原子力・石炭火力の3種類だ。昼夜を問わず一定の電力を供給する役割を担う(図2)。このうち水力と原子力の多くを電力会社(旧一般電気事業者)が保有していて、発電した電力の大半を自社で販売している。

図2 「ベースロード電源市場」の役割。LNG:液化天然ガス。出典:資源エネルギー庁

 電力会社が保有する電源にはLNG(液化天然ガス)火力や石油火力もあるが、ベースロード電源と比べて発電コストが高い。このため需要の増減に合わせて必要な分だけを発電する「ミドル・ピーク電源」と位置づけている(図3)。

図3 電源の種類と限界費用(電力を1kWh増やすために必要なコスト)。LNG:液化天然ガス。出典:資源エネルギー庁

 これまで電力会社が卸電力市場で売り出してきたのは、価格の高いミドル・ピーク電源が主体だ。新電力が価格の安いベースロード電源を市場で購入することはむずかしい状況にある。電力会社と新電力の自由競争を阻害する大きな要因になっていることから、新たにベースロード電源市場を創設してオープンな取引を拡大する。

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