水素と蓄電池を使い分け、再生可能エネルギーの出力変動を吸収エネルギー管理(1/2 ページ)

東北電力が再生可能エネルギーの出力変動対策に水素製造技術を活用する実証システムの運用を開始した。長周期と短周期の出力変動に対し、蓄電池と水素製造を使い分けるのが特徴だ。出力変動対策は蓄電池を利用するのが一般的だが、水素製造技術の適用が可能かどうかを検証していく。

» 2017年03月27日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 再生可能エネルギーの導入を拡大する上で欠かせない出力変動対策。東北電力はこうした出力変動対策に、水素製造技術を活用する実証実験を開始した。仙台市青葉区の研究開発センターに設置を進めていた太陽光発電設備や水素製造装置などの導入が完了し、2017年3月23日から実証システムの運転が始まった。

 研究開発センターの屋上に出力50kW(キロワット)の太陽光発電設備を設置している。水素製造装置の製造能力は5Nm3/hで、貯蔵タンクの容量は220Nm3である。太陽光発電で発電した電力で水素製造装置を稼働させる。製造した水素をタンクに貯蔵し、燃料電池で発電して研究開発センターの電力として利用する仕組みだ。

設置した太陽光発電システム(クリックで拡大) 出典:東北電力
実証システムのイメージ(クリックで拡大) 出典:東北電力

 実証のポイントは短周期と長周期の2種類の出力変動への対応だ。実証システムには容量67kWh(キロワット時)の蓄電池も組み込まれている。こちらで太陽光発電設備の短周期変動を吸収する。短周期以外の出力変動の吸収に、水素製造を活用する。蓄電池と水素製造の最適な使い分け方を検証していく狙いだ。

水素製造技術を活用した出力変動対策のイメージ(クリックで拡大)出典:東北電力
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.