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» 2017年05月02日 07時00分 UPDATE

エネルギー供給:年間1億円以上の電力コスト削減、補助金に頼らないエネルギー地産地消が静岡市で (1/2)

静岡市でエネルギーの地産地消とバーチャルパワープラント(VPP)を活用した注目の事業が始まった。鈴与商事が市内のゴミ処理場で発電した電力を市有施設に供給する他、80カ所の小学校に蓄電池を導入してVPPを構築する。静岡市は年間1億円以上の電力コスト削減が見込める。政府の補助金を活用せず、自治体と新電力が独自で自立したビジネスモデルを構築するモデルケースとして注目の事業だ。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 静岡市で自治体の取り組みとしては国内初となる、電力売買の一括契約と民間投資によるバーチャルパワープラント(VPP)の構築を組み合わせた事業がはじまった。エネルギーの地産地消を進めながら公共施設の電力コストを大幅に削減できるとともに、地域の防災機能の向上にも役立つ注目の事業だ。

 これは静岡市が市内に本拠を置く総合商社の鈴与商事に委託した「エネルギーの地産地消事業」で、2017年4月1日からスタートした。静岡市公営企業管理者と契約した鈴与商事が、小売電気事業者として電力の調達と供給をまとめて行い、さらに蓄電池を活用したVPPの構築にも取り組む。市が業務を委託するにあたって競争入札を実施し、静岡ガス&パワーを上回る好条件を提示した鈴与商事が落札した。

 鈴与商事の主な電力の調達先となるのが、市内のゴミ処理場で行っている排熱を活用した発電事業の余剰電力だ。市が運営する「沼上(ぬまがみ)清掃工場」と「西ケ谷(にしがや)清掃工場」では、ごみの焼却に伴って発生する熱や可燃性ガスを利用して発電を行っている。両方を合わせた発電能力は2万2390kW(キロワット)だ。この2カ所のゴミ処理場で発生する余剰電力を鈴与商事が買い取る。静岡市内の電源による地産地消の比率は約4割になる見込みで、調達量が不足する場合は卸売市場から調達を行う。

 鈴与商事はゴミ処理場で発電した地域由来の電力を、優先的に市の所有施設に供給する。特別高圧・高圧施設を中心に281カ所に供給を行う計画だ。供給規模は約50MW(メガワット)で、契約期間は2017年度から7年間となっている。静岡市は7年間の総額で、電力コストを約8億8000万円削減できる見込みだ。

事業概要のイメージ(クリックで拡大) 出典:静岡県

 静岡市は従来、ゴミ処理場で生まれる余剰電力の売電先、市有施設で利用する電力の調達先を別々に契約していた。今後は鈴与電力との一括契約となることで、債務を相殺できるというメリットもある。静岡市は電力の売電契約を結んでいた日本ロジテック協同組合が破産し、未収金が発生した過去がある。今回の事業は、こうした未収金の発生リスクを軽減する狙いもある。

これまでの静岡市の市有施設の電力コスト削減に向けた取り組み(クリックで拡大) 出典:静岡県
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