温泉の余剰熱で発電、東海3県初のバイナリー発電所:自然エネルギー
岐阜県高山市の温泉地帯である「奥飛騨温泉郷」に、源泉の余剰エネルギーを活用するバイナリー発電所が完成した。東海3県初のバイナリー発電所で、一般家庭約110世帯分の年間電力消費量に相当する発電量を見込んでいる。
2017年11月6日行われた竣工式の様子 出典:洸陽電機
洸陽電機(神戸市)と奥飛騨宝温泉協同組合(岐阜県高山市)が、高山市奥飛騨温泉郷で建設を進めていた「奥飛騨第1バイナリー発電所」が完成し、このほど発電を開始した。
洸陽電機と宝温泉は、これまで奥飛騨自然エネルギー合同会社(4つの源泉所有者と洸陽電機が設立)と共同で、地域でつくった電力を地域で消費するエネルギーの地産地消を推進してきた。同発電所は、宝温泉で利用している源泉の余剰熱エネルギーを活用した東海3県で初めてのバイナリー発電所だという。発電所の完成により、宝温泉に加盟する旅館及び組合員へ安定した給湯を行うとともに、組合員の給湯利用料の安定化を目指す方針だ。
洸陽電機が自社発電所として設備設計、施工及び維持管理を担当。発電設備は、神戸製鋼所製の小型バイナリー発電機「MB-70H」を使用し、奥飛騨宝温泉協同組合3号泉(温泉給湯用源泉)を活用して、送電端出力49.9kWの発電を行う。発電のための熱電には源泉を、冷却に利用する冷水は温泉の温度調整に使用している井戸水などを用いる。このシステムでは冷却塔で大気に放熱しないため、地域の余剰熱エネルギーを有効に活用することができるという。
バイナリー発電システムの概要 出典:洸陽電機
年間発電量は、一般家庭約110世帯分の年間電力消費量に相当する約37万kWhを見込む。発電した電力は中部電力へ全量売電する予定だ。
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