2018年度のFIT価格、事業用太陽光は数円の引き下げへ太陽光(1/2 ページ)

事業用太陽光発電の2018年度におけるFIT価格が見えてきた。システム費用の低下、過積載による設備利用率の向上を受け、現状の21円/kWhから数円程度の引き下げとなるのは、確実な情勢だ。

» 2018年01月10日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2017年12月27日に開催された調達価格等算定委員会で、2018年度の「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」に基づく太陽光発電とバイオマス発電の調達価格について、討議が行われた。2MW(メガワット)未満の非住宅用の事業用太陽光発電については、買い取り価格が現在の21円/kWh(キロワット時)から、さらに引き下げられることが確実だ。

 2017年4月に施行された改正FIT法で、2MW以上の事業用太陽光発電は、2018年度以降の買い取り価格を入札で決めることが決定した。10kW(キロワット)未満の住宅用については、2018〜2019年度の買い取り価格は既に決まっている。残るのは、10kW以上の非住宅用かつ、入札対象とならない2MW未満の発電事業の買い取り価格だ。

 委員会では、2MW未満の太陽光発電の買い取り価格を決める上で、参考となる複数の資料が公開された。1つが、太陽光パネルやパワーコンディショナー(PCS)など、発電所を構成するシステムの費用の推移だ。経済産業省が公開した資料によると、2017年に設置された10kW以上の事業用太陽光発電のシステム費用は、全体の平均値で30.0万円/kWとなった。これは2016年の設置案件全体の平均値とより1.6万円/kW低い値で、システム費用は引き続き低減傾向にあるとした。

事業用太陽光のシステム費用の推移 出典:資源エネルギー庁

 もう1つが、トップランナー分析だ。事業用太陽光の買い取り価格は、平均よりも効率の高い設備のシステム価格を適用するトップランナー方式を適用している。1MW以上の案件で、政府が調査したデータのうちシステム価格の低い順から上位25%の値を採用するという方式だ。このトップランナー方式に基づいた2017年度のシステム費用の想定値は、24.4万円/kW。しかし、2017年に設置された案件でトップランナー分析を行ったところ、さらに下回る22.1万円/kWとなり、これが2018年度の想定値として採用される見込みだ。

トップランナー分析の結果 出典:資源エネルギー庁

 一方、事業用の土地造成費用、接続費、運転維持費については、調査結果にもとづき、2018年度は2017年度の想定値を据え置く方針だ。

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