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» 2018年04月06日 07時00分 公開

自然エネルギー:「倒れる」風力発電をトンガ王国に、沖縄の台風対策ノウハウを活用

沖縄電力グループのプログレッシブエナジーが、ODA(政府開発援助)案件として、可倒式風力発電をトンガ王国に納入。台風などの強風を避けられるよう、傾けられる機構を持つのが特徴の風車だ。台風が多い沖縄で培った知見と技術を生かし、大洋州島嶼(しょ)国の再エネ普及に貢献するという。

[長町基,スマートジャパン]
納入する可倒式風力発電設備 出典:プログレッシブエナジー

 沖縄電力グループのプログレッシブエナジー(PEC、沖縄県中城村)は、貿易商社の西澤(大阪市)とともに日本政府によるトンガ王国向けODA(政府開発援助)の無償資金協力案件「風力発電システム整備計画」を受注した。これに伴い、PECの可倒式風力発電設備(5基)の納入についてトンガ電力公社と2018年1月27日に契約を締結。同年、3月27日に国際協力機構(JICA)から契約認証を取得した。なお、同事業は日本の無償資金協力案件で納入する、初めての風力発電設備となるという。

 今回納入する可倒式風力発電設備は、仏ベルニエ社製風車をベースに、プログレッシブエナジーがタワーや基礎などの設計・製造を行っているもの。風力発電機を90度近く倒すことで台風などの強風を避けることができる。傾倒作業は約1時間で行え、風車を地面に固定すれば最大風速85m/s(メートル毎秒)の台風にも耐えられるという。この他、建設や傾倒に大型クレーンを必要とせず、保守管理も本体を倒した状態で容易に行えるなどの特徴がある。

風車を傾倒させた際の様子 出典:プログレッシブエナジー

 沖縄電力では、低炭素社会実現に向けたCO2排出量抑制、離島発電所の燃料コストおよび保守管理コストの低減策として可倒式風力発電設備を2009年から導入。現在、沖縄県内の4つの離島で7基(波照間島2基、南大東島2基、粟国島1基、多良間島2基)を運用している。これらの建設および運転・保守管理をPECが担っており、同設備を唯一国内で導入している同社グループとして、技術や知見を蓄積してきた。

 大洋州島嶼(しょ)国はサイクロンによる被害が多く、またエネルギー分野では化石燃料への高い依存度が課題であるなど、沖縄と同様の問題を抱えている。同社グループは地元で培った“沖縄発”の知見と技術で、大洋州島嶼国の課題解決に取り組む方針だ。

 同社グループでは、可倒式風力発電設備の普及拡大に向けた活動を2012年から実施中だ。対象国の現地調査等を経て、関係者を招へいしての可倒式風力発電設備の視察や技術者の受け入れによる保守体験の実施など積極的に取り組んできた結果、今回のトンガ電力公社と契約に至ったという。

 今回の事業では、トンガの首都ヌクアロファがあるトンガタプ島で風力発電設備および系統安定化装置などを整備することで、再生可能エネルギーの導入を促進する。さらに、電力供給の多様化とエネルギーの安定供給にも貢献することを目指すもので、2015年の「第7回太平洋・島サミット(PALM7)」で日本政府から提唱されたハイブリッド・アイランド構想支援の一環となる。

 納入する風量発電設備の総合出力は1375kW(キロワット)で、2018年7月に着工し、2019年4月の完成を予定している。

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