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» 2018年07月27日 07時00分 公開

蓄電・発電機器:回生電力で停電しても列車が動く、小田急が実証に成功

小田急電鉄は車両のブレーキ時などに発生する回生電力を蓄電し、その電力のみで車両を走行させることに成功。大規模停電などの際に、最寄り駅まで車両を走行させるといった活用方法を見込む。

[長町基,スマートジャパン]

 小田急電鉄は2018年7月11日、大規模停電の発生を想定して「回生電力貯蔵装置」の電源供給による列車自力走行試験を実施した。ブレーキ時などに発生する回生電力を活用し、外部からの電力供給が遮断されても列車を運行させられることを確認したという。

 この試験は、大規模停電発生時に複々線地下区間(代々木上原駅〜梅ヶ丘駅)の駅間に停車した列車内の乗客を、安全でしかも速やかに最寄り駅で降車できるよう、回生電力貯蔵装置の蓄電池だけの電力で自力走行するための検証を行ったものだ。

 検証結果として、回生電力貯蔵装置の蓄電池だけの電力で、列車(使用車両は4000形の10両編成)を各駅や駅間の勾配箇所に一度停車させた後、起動させて次駅まで15km/h以下の速度で自力走行させることができた。特に同区間には同社最大の35%の勾配があり、この勾配上で停車させた列車も蓄電池のみの電力で自力走行(起動)可能であることを、下り急行線、上り緩行線の1往復を走行し、計8回の起動、停止を実施するなどして確認した。今後は同装置の具体的な運用方法などを定める方針だ。

回生電力で走行した区間のイメージ 出典:小田急電鉄

 この装置は、2018年5月に列車から発生する回生電力の有効活用および停電時の列車への電力供給を目的に、小田急小田原線上原変電所(東京都渋谷区)に導入したもの。蓄電池は容量2000kWh(キロワット時)の日立製作所製のリチウムイオン電池を使用し、通常時は、列車の回生電力を吸収し放電することで節電効果によるCO2削減を図っている。

回生電力貯蔵装置と緊急走行時の制御画面 出典:小田急電鉄

 なお、この装置の導入には環境省と国土交通省連携のエコレールラインプロジェクト事業として補助金を受けた。エコレールラインプロジェクト事業は、駅などの鉄道施設への再生可能エネルギー発電設備や省エネ設備などの導入、または車両の省エネ化を推進しようとする鉄・軌道事業者に対し、低炭素社会創出促進協会を通じて、環境省と国土交通省が連携して事業費の一部を補助する。省エネ設備などの導入を促進し、これらの本格的な普及につなげ、CO2排出の抑制を図ることを目的としている。

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