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» 2018年08月08日 07時00分 公開

自然エネルギー:ブロックチェーンによる「非FIT再エネ」の環境価値取引、環境省が主導 (1/2)

ブロックチェーンにより、電力関連サービスの新しいスタイルを模索する動きが本格化している。ブロックチェーンを使えば、消費者間で再エネを取引することも可能になるという。ブロックチェーン技術は、再エネを取り巻く状況に、どんな変化をもたらすのか?

[廣町公則,スマートジャパン]

 環境省は2018年度、「ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業」をスタートさせた。これまで十分に評価されてこなかった自家消費される再生可能エネルギーのCO2削減価値(環境価値)を明確にし、その価値を自由に取引できるシステムを、ブロックチェーン技術を用いて構築し実証することを目指すという。

 ここでいう“自家消費される再生可能エネルギー”とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」で売電しない電力のこと。ブロックチェーンとは、仮想通貨「ビットコイン」の中核技術として知られる分散型ネットワーク技術であり、さまざまな分野への応用が期待されているものだ。ブロックチェーンは、細かい取引の取引履歴や約定、決済結果を正確に記録することができるので、小規模な自家消費電力(=非FIT電力)の取引とも親和性が高いという。

 FIT買取価格の下落が続くとともに、まもなく買取期間が終了する案件も出現する。こうした状況にあって、同事業は、太陽光や風力などで発電した再エネ電力をFITとは別の形で取引する可能性を拓くものとして注目される。なお、これは2018年度にスタートした委託事業であり、現在、公募によって選ばれた次の2グループが、それぞれのテーマで実証を進めている。

  • 1.デジタルグリッド株式会社(代表事業者)……採択内容「自家消費される再エネCO2削減価値の事業者向け取引・決済システム検討事業」
  • 2.株式会社電力シェアリング(代表事業者)……採択内容「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるC to C取引サプライチェーン検討事業」

 2018年5月25日(第1回)と7月4日(第2回)に、同事業の課題検討協議会が都内ホールで開催され、両グループから途中経過が報告された。以下、その内容をもとに、それぞれのプロジェクトを概説する。

第2回 課題検討協議会の様子

ブロックチェーンによる取引・決済システム

 デジタルグリッドらによる「取引・決済システム検討事業」は、再エネのCO2削減価値(環境価値)をリアルタイムで評価し、その価値を取引・決済するシステムを構築しようとするものだ。これが実現されれば、環境価値創出から市場取引、最終消費に至るまでの全やり取りをブロックチェーンによって正確に記録し、取引履歴はもちろん、需要家サイドの再エネ比率や温室効果ガス削減量まで分かりやすく表示することが可能となる。再エネの新たな取引市場となる環境価値取引市場を、ブロックチェーンによって生み出すことを企図している。

 ここで鍵を握るのが、デジタルグリッドコントローラー(DGC)による正確な計測とブロックチェーンへの署名付き伝送の技術だ。デジタルグリッドコントローラーとは、発電システムやスマートメーターと連携し、電力の属性証明も行える新たな制御デバイスのことを指す。

 実証事業としては、まず開発済みのDGCタイプBを40カ所程度に設置して運用実証を行い、商用システム化へのプロセスを明確にする。併せて、クラウド上のブロックチェーンで構成された市場に対して取引判断・入札・電力融通確認を行えるようにするなど、取引機能や通信機能などを強化したDGCタイプCを開発し、システムの高度化を図っていく。

デジタルグリッドコントローラーによる、再エネのCO2削減価値を識別・計量するシステムのイメージ 出典:デジタルグリッド
デジタルグリッド 代表取締役会長の阿部力也氏

 発表を行ったデジタルグリッドの代表取締役会長を務める阿部力也氏は、同プロジェクトの意義を次のように述べている。「ブロックチェーン技術を使った環境価値取引市場は従来なかったリアルタイム性の高い活発な市場となり得る。また、ブロックチェーンならではの分散型認証による低コストな信頼性確立手段は、市場参加者を拡大し、その市場から得られる利益は再エネの再投資に向かうと想定される。さらに、本方式は国際認証基準にも合致し、排出権の国家間輸出入にも寄与する仕組みとなる。以上のことから、本プロジェクトはCO2をはじめとした地球温暖化ガス排出削減に大いに寄与すると思われる」

 なお同プロジェクトには、イオングループで再エネ事業を担うイオンディライトも参画している。同社では、参画の目的を「分散型再生可能エネルギーの効率的な利用や電力取引に関する検証を進めること」とし、「新たな技術の採用により、再生可能エネルギーに適正な価値をつけ、イオン各社・一般家庭の余剰電力、再エネ発電事業者などのクリーンエネルギーを企業や各家庭に提供したい」と話している。

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