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» 2018年09月25日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(2):ソーラーシェアリングはどこまで広がったか、導入件数とその実態 (1/2)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年、国内で大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は日本での導入実績や、近年の制度改正について解説する。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、2013年3月末に「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(24農振第2657号)が発出されてから、少しずつ各地で設備の導入が増え始めました。

 全国で一時転用許可を受けた事業の累計件数は、2013年度末に97件、2014年度末に401件、2015年度末には775件へと増加していき、2017年度末時点には1269件にまで拡大しています。

 農林水産省が公表した統計資料を見ると、都道府県別で最も許可件数が多いのは千葉県の204件で、次いで静岡県が140件、群馬県が138件と続き、この3県だけが100件以上の累計許可件数となっています。一方で、許可件数が0件なのは富山県だけですが、他に石川県、山口県、大分県が1件のみという結果になっています。

 この地域差の理由を正確に分析することは難しいものの、千葉県はソーラーシェアリング発案者である長島彬氏の実証試験場があり、その影響を受けてソーラーシェアリングに取り組む農業者や事業者が多かったこと、また静岡県や群馬県は地元で力を入れて取り組む事業者の存在などが考えられます。言い換えれば、キーとなって取り組む事業者などがいない限り、まだまだソーラーシェアリングへの取り組みが進む素地が整っていないとも言えます。

初期に設置されたソーラーシェアリングの例

 これまで設置されたソーラーシェアリングの農地面積は、それぞれ数百m2単位の小さなものから1ha(ヘクタール)を超える大きなものまで多種多様ですが、農林水産省が取りまとめている2015年度末までに導入された755件の事例を分析した資料を見ると、全体の65%にあたる490件は1000m2以下となっていて、1000m2超3000m2以下の178件と合わせると約88%となります。

 ソーラーシェアリングに必要な面積から考えると、このほとんどが定格出力50kW(キロワット)未満の低圧連系の設備だと考えられます。これは、大規模な設備になるほどソーラーシェアリングの仕組み上、資金調達が難しかったことや、農業者自身による取り組みが多かったことなどが原因でしょう。また、この規模の設備では個人農家が取り組むケースが見られ、農業者自身が発電事業も行うことで地元農業委員会の理解を得やすかったなどの理由も考えられます。

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