故障していないのに売電量が減少、太陽光発電所における雑草対策の意義太陽光(2/2 ページ)

» 2018年12月13日 07時00分 公開
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 最も一般的なのは、人力作業による草刈りです。一般的なホームセンターなどにも売っているような草刈り機から、手押し式のもの、乗用式のものなどを使い、人の手で草刈りをする方法です。こちらは、機械さえあれば誰でもできますので、多くの発電所で実施されています。しかし、大きな発電所や斜面設置の発電所など、人力では手間が掛かりすぎてしまう発電所には別の方法で雑草対策を行うケースもあります。

乗用式の草刈り機を使った除草作業のイメージ

 手間を少しでも減らすため、除草剤を使用するケースがあります。良く効いた場合には春頃に1回まくだけで、年間通して雑草の繁茂を防げることもあります。しかし、近隣に農家がある場合や斜面に散布する場合は、許可が必要だったり、斜面が崩れないよう散布量を調整する必要があったりするため、使用を推奨できないケースもあります。

 発電所建設時から雑草対策をする場合もあります。防草シートの敷設やアスファルト舗装をするケースなどがそれに当たります。こちらはイニシャルコストがかかってしまうものの、発電所が稼働した後の手間やランニングコストを格段に減らすことができます。しかし、防草シートは長期間耐久できるものはほとんどなく、また風雨などではがれてしまった場合、余計にコストがかかってしまう場合もあります。また、アスファルト舗装はイニシャルコストが非常に高いため、敷地が広くなるとその分コストも高くなってしまいます。さらに、アスファルトは熱を持ちやすいため、発電所内の温度が高くなってしまいパネルの発電効率に影響を与えてしまう可能性もあります。

 その他にも、発電所場内で羊・ヤギなどを飼って雑草を食べてもらう手法や、ルンバのような機械を使って自動で除草作業を行うような手法もありますが、まだまだこれらは課題が多く、あまり多くの実用例が無いのが現状です。

土地ごとに適切な雑草対策が必須

 上述の通り、太陽光発電所ではさまざまな問題が発生します。その中でも特に発電量に直結する問題として雑草の繁茂が挙げられます。発電所を運用する中で、雑草対策は非常に重要ですが、どの手法にもメリット・デメリットがあります。そのため、発電所の設置状況や周辺環境などを鑑みた上で、その発電所に合った適切な雑草対策が必要になります。コストを安く済ませることだけを考えた方法を選択すると、後々その他の問題を発生させてしまう可能性もあります。今後は太陽光発電所のプロの視点から見た雑草対策が必要になって来るのではないでしょうか。

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