「生成AIバトルロイヤル」──AIコンサルタントのマスクド・アナライズさんとメルカリで生成AI推進を担うハヤカワ五味さんは11月22日、そんなトークイベントを開催した。
起業家としてブランド運営の経験を持つハヤカワさんは、7月にメルカリに参画し、全社の生成AI推進を担当。マスクド・アナライズさんは10月、書籍「会社で使えるChatGPT」を発売。自社で生成AIの導入を考える人たち向けに、そのために必要なノウハウを解説している。この書籍の発売を記念して開催したトークイベントでは、メルカリ内でのAI利用推進の状況などが語られた。
メルカリではどのように生成AIを業務で活用しているのか。全社の生成AI推進を担当するハヤカワさんはまず、具体的な活用例として、英語を扱う部署での翻訳ツールとしての利用や、スプレッドシートやExcelの関数作成支援を挙げた。
従来は「自分で学んで覚えろ」という文化があった関数の作成も、今では画像をChatGPTに投げることで、その作り方も質問可能に。「関数以外にもBigQueryやSQLといったコーディング領域。エンジニア以外の社員が必要に迫られてコードを書かなければならないケースが結構ある。そこで重宝されている」とハヤカワさん。
また、ハヤカワさん自身も自動化ツールと組み合わせたAI活用を実践している。「社外のAIニュースをGoogleニュースからRSSで取得し、スコアリングした上でトップ5を抽出。面白いタイトルをつけて毎週社内に自動投稿する」という具合だ。
マスクドさんの書籍には、生成AIと社内政治の向き合い方に触れる部分もある。ハヤカワさんもこれに同意し「大企業でも中小企業でも社内政治はある。(AIが)すごいと気付いていても、社内で防衛策を取れていなかったら、何かしらに足を引っ張られることもある」と指摘する。
経営層との対話では、数字での説得と危機感の共有が重要になる。ハヤカワさんは「メルカリのような2000人規模の企業で、1人当たり月1時間の削減でも2000時間分のインパクトがある」といった具体的な効果を示しつつ「やることのメリットより『やらないと死ぬ』というように、使わないことのデメリットを説明している」と、経営層に対して強い危機感を共有するという。
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